経済産業省が推進する「クールジャパン」のプロジェクトの一環としてはめずらしい、Eコマースサイトとセレクトショップ(東京都渋谷区)が今月(2014年12月)オープンした。日本のクリエイターが手作りした14のブランドの商品を紹介・販売している。
ただ商品を並べているのではなく、日本の「伝統色」があしらわれたものだけを集めているのがユニークだ。そもそも伝統色とは、日本ならではの色彩感覚に基づいたもので、過去の歴史資料において出典がある色は1000を超える。
伝統色グッズのEコマースサイト
たとえば、山葡萄の熟した実の色に名前が由来するやや淡い赤紫色の「葡萄(えび)色」のトートバックや、朱鷺(とき)の翼の下面の色に名前が由来する朱色がかった濃いピンクの「朱鷺色」のコーヒーカップ、墨の五彩である濃、焦、重、淡、清の焦にあたる黒に近い灰黒色の「墨(すみ)色」の播州刃物の洋裁ばさみなどがならぶ。
このほか、墨田区の企業が製作した、北斎の浮世絵からヒントを得て海の夕焼けをイメージしたプリントポロシャツ、枯山水をイメージした緩やかなカーブを描く「日本庭園マフラー 」などは、特に日本らしさが際立っているといえるだろう。
Eコマースサイトは、ファッションECサイト「IROYA」内で、「ショップインショップ」の形式で展開される。このサイトは他の媒体とも連動。雑誌「Discover Japan 2015年1月号」の誌面では、商品の中でも目利きの編集員がオススメするものを掲載。誌面にはサイトのURLも記載されるため、読者はその場で閲覧・購入することができる。
セレクトショップ実店舗でも
セレクトショップは、同じくIROYAが渋谷に構える実店舗で展開され、2014年12月28日までの期間限定で商品が陳列される。場所は、渋谷の中でも外国人の訪日観光客も多く訪れるキャットストリートに構える。
このほか、経産省も事務局である、外国人に日本のカルチャーを発信する英字サイト「100 Tokyo」や、Google+などソーシャルメディアの公式アカウントでも広く告知が行われる。
このように、Eコマースサイトからでも、実店舗からでも同じ商品を買えるようにする手法は、いわゆる「オムニチャネル」と呼ばれる。お店を訪れたときに知った商品を自宅から購入することができるため、顧客にとっては利便性の向上に、ブランドにとっては機会損失を防ぐことにつながる。
今回の取り組みは、反響を踏まえ、2015年以降に第2弾の開催も検討されているという。(岡徳之)