「頑張るワーキングマザー」礼賛が、女性を追い詰める

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   先日、このコラムで、「朝5時起きで頑張る『ワーキングマザー賞賛』への違和感」(2014年10月17日配信)と題したお話をしたところ、様々な反応を頂きました。コラムの内容は、子供のために頑張って「早起き」する生活を、「働くママのハッピーライフ」などと持ち上げることへの「違和感」をまとめたものです。

   現役のママたちからは、共感を頂く一方、「早起きして頑張っているのはワーキングマザーだけじゃない!」という批判もありました。

「両立ライフ」のハードルが高すぎる

子育てに仕事に家事に・・・
子育てに仕事に家事に・・・

   私の周りには、朝4時起きで「語学の勉強をしている」母親もいれば、朝6時台にメールの返信をくれるワーキングマザーもいます。子供のお迎えは18時まで、21時には寝かしつけなければ......といった時間的成約がない、私のような者にとって、彼女たちの生活は、とても大変そうに映ります。

   もちろん、「子供がいるから、仕事も頑張れる」とか、「人生の充実度は格段にアップしたよ」という方が多いのは、事実です。そういう女性たちとお話しすると、まだ見ぬ両立ライフへの、あこがれの感情も湧いてきます。

   ただ、コラムで取り上げた、早起きワーキングマザーを持ち上げるニュース記事には、違和感がありました。朝3時半に起きて、夕食まで作っておくとか、朝4時半に起きて、食事の仕込みを済ませた後、資産運用の勉強をしている母親とか、結構ハードルの高い生活が「両立の理想」とされていたからです。これでは、「今でも大変だけど、私なんてまだまだ......」と、さらに頑張りすぎる母親が、増えてしまうのではないでしょうか。と、書いたところ、いくつか反応を頂きました。

   ある方は、「長男出産後、1年程度、始発電車通勤をしましたが、体力がもたず、次男を妊娠しだい、非常勤に切り替えることになりました」といいます。「早起きが『できる人』は良いのですが、私には無理。毎朝7時過ぎに起きてるし、夕食は帰宅後に作ります」という人もいます。

「早起きしているのは、働く母親だけじゃない」

   当たり前ですが、「早起き両立ライフ」は、合う人と合わない人がいるのですね。「自分では毎日精一杯なんだけど、これでいいのかまだまだなのか、全くわかんない状態......」と、悩む人もいました。自分に合う「両立ライフ」を、見つけるまでが、大変なのかもしれません。

   また、働く母親以外の人からは、「ワーキングマザーじゃないけど5時台には起きてるよ」とか、「男女問わず5時起きなんて、いくらでもあるだろ」「ワタクシも5時起きで、食事の支度をして弁当を詰めて、自分の勉強してますけど表彰されまへんのかいな?」との声が寄せられました。

   確かに、子供がいなくても「5時起き」の人は、世の中に沢山います。が、私が問題に思うのは、働く母親の早起きが、推奨される『理由』です。ワーキングマザーの早起きが推奨されるポイントは、「家族のため」「自分のスキルアップのため」「ハッピー両立ライフのため」と、どんどん抽象的になっていっているのです。

   こうした考え方は、母親たちに、「自分のためのみならず、家族のためにも尽くし、ひたすら頑張ることがハッピー!」という、ちょっと息苦しい価値観を押し付けているのではないでしょうか。「家族に尽くしてこそ、仕事も頑張ってこそ、幸せなワーキングマザー」という価値観は、両立ライフのハードルを上げ、働く母親たちの「幸福度」を、かえって下げてしまうように思います。皆さんは、どうお考えでしょうか。(北条かや)

北条かや(ほうじょう・かや)

1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
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