転職活動の面接で、なぜかタブーにされがちなのが、「お金の話」。「ボーナスはいくら?」「役職手当は?」など、求職者が知りたいことは山ほどあるのだが、遠慮して質問できない。が、そんなタブーを打ち破り、見事、転職を成功させたケースもあるようだ。
31歳エンジニアが「即、合格」した理由
話題を集めているのは、安達裕哉氏による、「中途採用面接で、志望動機を聞かれて『もっと給料が欲しかったからです』と回答した人がいた。」(2014年11月18日)というブログ。
以前、中途採用の面接を手伝っていた際、31歳のエンジニアが、「なぜ転職を考えたのですか?」という問いに対し、「はい。もっと給料が欲しかったからです」と答えたという。多くの人は、「もっと高いお給料がほしい」という本音は隠し、「上流工程をやりたかったので」などの「タテマエ」を述べるのが普通だ。
ところが彼は、「仕事はどちらにしろ、一生懸命やる。だったら給料が高いほうが良い」とハッキリ。面接官から、「給料が高ければ、どの会社でもいいのか?」と突っ込まれても、「どの会社でもいいということはない。給料が高いことは必要条件であって、十分条件ではない。しかし、エンジニアを10年やってきて感じたのは、『やりたいこと』を言って、それが叶うことは殆どなかった、ということと、とりあえず何の仕事でも、一生懸命やれば楽しかった、ということだ」と答えたという。
この様子を聞いた社長は、即、合格の判断を下した。理由は、「カネでモチベートされる貴重な人材だから」。社長に言わせれば、「下手にやりがいとか、こだわりなどと言われる方が、逆に扱いに困る」という。
ブログを受けて、ツイッターでは様々な感想が見られた。多くは、「確かに納得」「日本人はお金の話に敏感になり過ぎなんだよな」など、率直にお給料の話をしたエンジニアに、共感を示す声だ。
退職理由の「本音」は「待遇面」が4割
多くの人は、退職の際、給与など「待遇面」に不満をもっている。が、それを表に出すケースは少ない。人材総合サービスのエン・ジャパン(本社・東京)が、サイトユーザー5000人を対象に「退職理由」を尋ねたところ、会社(人事)に伝えた退職理由が「ホンネとは異なる」人は45%と、半数近くに上った(2013年8月7日公表)。
会社に伝えた理由(単一回答)で最も多かったのは「家庭の事情」(32%)だったのに対し、本当の退職理由で「家庭の事情」をあげた人は、3%にすぎない。ホンネでは、「人間関係」(26%)、次いで「社風や風土」(18%)、「仕事内容」(16%)、「給与」(12%)、「待遇」(10%)など、4割以上が仕事内容や給与などで占められている。
待遇が気に入らずに辞めた人は、新たな会社で、ごく自然に「より良い待遇」を求めるだろう。が、それを言っては面接官に嫌われる・・・と、遠慮する人も多いようだ。
ツイッターでは、「企業の側から、積極的にお金の話をすべき」との意見も目立つ。「なぜ企業側は、金の話をしてくれないのでしょう。役職手当、みなし残業代、ボーナスの有無・・・」
一方、少数派だが、「今の会社入ったときは、『とにかく金くれ』しか言ってないし、それが普通だと思ってた」という猛者(?)もいる。さらに、「前職で面接をこなしていた」という人からは、「志望動機に、勤務条件を挙げる人には嘘がない」とのつぶやきもあった。(KH)