「T大の弟にはかなわない・・・」 そんな「工業高校卒」の兄が「大化け」したワケ

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国際会議で論文発表

   じつは、彼には非常に優秀な弟がいて、T大学に現役合格とか。高校生ぐらいまで「弟に敵うわけない」とあきらめ気分だったらしいが、自分もやればできるんだと考えたらしい。この頃、成績中ぐらい。

「先生の研究室を希望します」
「そう、希望通りになるといいね」

   結局、私の研究室に配属になり、大学院の入試も合格。卒業研究、大学院の修士論文作成と面倒をみることになった。卒研時代は、上の下ぐらいの成績かな。

「先生、英検2級受かりました」
「そうか、よかったな。じゃあ、今度、国際会議で論文発表してみるか?」
「はい、ぜひ、やりたいです!!」
「えっ・・・本気で?」

   そのリケダン、ユーロ圏で開かれた国際会議でポスター形式の研究発表を行った。私も、たまに少しだけ助け舟を出したが基本自力で。

「さっき、長々と英語で質問されていたけど、何、聞かれたんだい?」
「え~っと、実験の詳細とあと・・・そうそう、『KANJI』でお前の名前をどう書くのかって?」

   彼は、国内の学会でも発表も行い、論文も和文と英文とそれぞれ1報ずつ、計2報が学術誌に掲載という結果を残して修士課程を修了した。その甲斐あって、奨学金返還の半額免除を勝ち取り、大手外資メーカーに就職できた。まあ、最終的には成績も上の中ぐらいになったと言う事で。(プロフェッサーXYZ)

プロフェッサーXYZ(えっくすわいじぃー)

国立大学を卒業し大学院修了後、助手として勤務。現在は東日本の私立大学の教授であり、フラスコを持ったリケジョの研究指導をしたり、シュレディンガー方程式に頭を悩ませる男子学生の教育を行ったりしている。受験戦争世代と言われた時代から、バブル世代、ゆとり世代、そして、ゆとりは終わった?という現代まで様々な教育・研究現場を肌で体験している。大学教育のみならず初等~高等教育の現場とかかわりを持ち、日々「良い教育は?」の答えを模索し続けている。ちなみにカクテル好きというわけではない、下戸である。また、「猫」も飼っていない。
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