仕事内容や待遇、人間関係などへの不満が募り、「転職」の2文字が頭をよぎったことがあるビジネスパーソンは少なくないだろう。
最新の転職理由ランキングでは、「ポジティブな転職理由が増えている」とも指摘されているが、ネガティブな気持ちを抱えて転職に動いている人もまだまだ多そうだ。
「不安感が減少し、待遇や条件に対する希望が顕在化した」
転職情報サイトの「DODA」は2014年11月10日、「転職理由ランキング -2014年下半期-」を公開した。
14年4月から9月までに転職活動を行った約3万人のデータを元に転職理由を解析したもので、1位は「ほかにやりたい仕事がある」(13.1%)。「会社の将来性が不安」(10.1%)、「給与に不満がある」(7.5%)と続いた。トップ10の中には、「専門知識・技術力を習得したい」(5.0%、5位)、「市場価値を上げたい」(2.5%、8位)など、ポジティブな理由も目につく。
転職理由の経年変化(半期ごと)のグラフを見てみると、11年下半期までトップだった「会社の将来性が不安」に「ほかにやりたい仕事がある」が追いついて以降、その差はどんどん開いている。「給与に不満がある」も10年上半期を境に、ゆるやかな減少傾向にあるようだ。
一方でトップ10のうち8項目が14年上半期ランキングから回答割合を落としていて、11位以下への理由に数値が分散しているという結果も出ている。これについてDODA編集長の木下学氏は、「求人数の増加に伴い転職希望者の選択肢が広がったことで、転職理由の多様化が進んだ」「会社都合や会社の将来性への懸念といった不安感が減少したことで、待遇や条件に対する希望が顕在化し、『今よりもっと良い会社で働きたい』と新たに転職に踏み切る人たちが増えたのだろう」と総括している。
「失望」が転職理由上位のランキングも
「希望ある転職が増えている」というランキングの一方で、理由の上位に「失望」という言葉が並んでいるランキングもある。
転職情報サイト「転職エージェント みんなの口コミと評判」が13年5月に集計した「『転職を思い立った瞬間!』リアルな転職理由ランキング」では、1位が「上司または人間関係に失望」で、以下「会社の現状や将来に失望」、「仕事と待遇のバランスに失望」、「報われない、徒労感に失望」「経営者に失望」(同率4位)と続き、5位にようやく「自分の夢や理想を実現したい」とポジティブな理由が登場している。
もっとも、約1年半前のランキングであり、その後、経済情勢の変化などを受けて変わっている可能性もある。2014年の7-9月GDP(国内総生産)は、対前期(4-6月)比0.4%減、年率換算では1.6%減と「想定外」の低さとなるなか、今後の転職組は、ポジティブ派とネガティブ派、どちらが優勢となっていくのだろうか。(MM)