中小企業も無縁ではない「炎上」リスク 今、押さえておきたい対処法のポイント

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管理体制の徹底を

   ただ、そこまで逼迫した事態は、それほど多くはないだろう。分かりやすい例として、電気部品の仕様の誤表示、食品の製造年月日の誤表示を取り上げてみたい。幅広い電化製品に使われている部品の仕様に誤表示があり、実際には性能が劣って電化製品の安全性にかかわる場合。食品の製造年月日に誤表示があり、実際の製造日よりも新しい製造日となっていた場合。このケースでは消費者の信頼を裏切る行為であり、事故につながる可能性も想定されるため、速やかに広報をしなければならない。販売数量が多ければ、中小企業といえども記者会見をしなければならないことになる。監督官庁にはもちろん、知らせなければならず、監督官庁サイドで広報の助言をしてくれるだろう。

   一方、それとは逆に、実際の性能よりも低く表示されていた場合、実際の製造日よりも古い製造日となっていた場合は、管理体制は問われるものの、それほど大事にはならない。社会への悪い影響がないからである。広報は必要なく、関係者へのお詫びで済むだろう。

   また、社員の過重労働のケースでは何らかの事故が発生した時に、原因究明の段階で指弾される。運送業などで多くに人を巻き込む事故が発生し、過重労働が原因だったとしたら、当然マスコミが動くし、会社倒産もあり得る。医薬・食品や介護福祉分野にみられる事故についても、原因究明の段階で事業者側のミスが発覚すれば、経営に大きな影響を与える。

   中小企業の場合は、大企業と比べて影響が限定的なため、すべてを広報する必要はない。ただし、社会や国民を裏切る行為であれば、広報しなければならなくなり、企業の生死にかかわってくる。顧客や社会に迷惑をかけない管理体制、コンプライアンス(法令順守)の徹底を図ってほしい。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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