マイルドヤンキー女子の経済感覚 「20代で一戸建て購入」も当たり前

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   地方や郊外に住み、「地元」から出たがらないといった特徴がある若者たちを「マイルドヤンキー」と呼ぶのが話題になりました。20代の3割が当てはまるとも言われる、マイルドヤンキー。彼らは、『家族・絆・仲間』といった言葉が好きで、かつてのヤンキーのように、大人社会にやたらと反抗することはありません。車やブランド物の所有にこだわるなど、消費意欲も旺盛。今回、取り上げるのは、そんなマイルドヤンキー女子の、意外にも(?)「男女平等」な仕事観です。

   地方都市に住むYさん(28歳)は、商業高校を卒業後、地元に工場を持つ大手メーカーで働いています。中学時代は、ギャル系のグループに属し、それなりに「ハジけていた」Yさんですが、きちんと就職し、一昨年に結婚。今では1児の母です。

旦那は夕方4時に帰ってくる

20代で建てました
20代で建てました

   Yさんは、地元から出たいと思ったことがありません。「うちはオカン(母親)もオトン(父親)も、みんな地元育ち。東京とか大阪に、進学しなかった理由?う~ん、大学とか行かなくても、仕事は地元で、十分あるから」(Yさん)。東京や大阪は、遊びに行くところ。生活の拠点は、あくまで地元です。

   Yさんは、本当に堅実。最初の就職は、不況で良い高卒求人がなかったものの、幾度かの転職を経て、大手メーカーの地元工場で検査を担当するようになりました。職場の主な戦力は、女性ばかり。「ワーキングマザーなんて、どこが新しいの?」と感じられるほど、育児しながら働く母親も、ごく普通にいます。近くには実家もありますから、育児のサポートもしてもらえる。彼女も、そんな先輩たちを自然と見習い、地元つながりで出会った彼氏と、結婚して共働きです。

   Yさんの夫は、「配送の仕事」をしています。「給料は、正直ウチの方がもらってる。旦那は、朝は早いけど、夕方は4時に帰ってきて、『ご飯まだ~?』みたいな。ウケるでしょ(笑)」と言いつつ、ややのろけ気味の彼女。子供が産まれるまで、デートは「2人でパチンコ」でしたが、今は、週末に家族でイオンモールへ出かけ、食品をまとめ買いするのがデートだそう。

「夫に依存」する気なし


Yさんは、まさしくマイルドヤンキーの特徴に当てはまる女子なのですが、仕事観は「男女平等」です。稼げる方が稼ぎ、子供を産んでも仕事は辞めない。専業主婦になって、夫に依存しようとは思っていないのです。

   「旦那の収入じゃ、生活していけないし。ていうか、ウチがずっと家にいるなんて、ありえなくない?暇じゃん」(Y子さん)。彼女には好きなアーティストがおり、そのライブへ出かける費用を工面するためにも、働くのは当然だといいます。自分の分は、自分で稼ぐ。来年には家を買う予定とのことで、貯金もしています。私と同い年(28歳)で、すでに一戸建てを買うのか!と、驚いたものの、20代で家を買うのは、地方のマイルドヤンキーにとって、ありふれたことだそうです。土地の価格が安いので、共働きなら十分、ローンを組めます。どちらかの両親が、郊外の土地を用意してくれる場合もあります。

   よく、「都会で働く独身女子向け」のネットニュースなどを見ていると、「ハイクラスな男性と結婚する方法」とか、「男子を手玉に取る小悪魔テク」などのコラムを見かけます。しかしながら、早くに結婚して子供を産み、地元で堅実に生活するマイルドヤンキー女子を見ていると、「高収入の男性と結婚して、都会で華やかに暮らしたい!」という女子たちの欲望が、ちょっと浮ついたものに見えてくるのでした。何が幸せかは、人それぞれなのですけれどね。(北条かや)

北条かや(ほうじょう・かや)

1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
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