「休憩ください」と言ったら解雇通知 試用期間中だから「仕方ない」ですか?

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弁護士解説 試用期間だからと言ってあきらめる必要は全くない

   まだ、入社して2週間しかたっていないにもかかわらず、突然解雇をされるなんて辛いですね。休憩をきちんと取りたいと要求しただけなのに・・・。

   よく耳にする「解雇」とは、法律的には、使用者による一方的な労働契約の解約のことをいいます。

   解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効となります。少し難しいので簡単に言うと、労働者側に極めて重大な落ち度がなければ解雇は許されないとされているんです。

   ところで、試用期間とは、労働契約を解約できる権利が企業に残っている状態で結ぶ労働契約です。そのため、会社は労働者をいつでも簡単に解雇できるというわけではありませんが、試用期間中は試用期間外よりは解雇が広く認められます。

   では、あなたが休憩をきちんと取りたいと要求したことだけを理由に会社が解雇してきた場合、その解雇は有効となるのでしょうか。

   解雇が許されるかどうかは、通常、職種や職務内容、労働条件、勤務態度、勤務成績、周囲の評価等さまざまな事情から判断されます。あなたは休憩をとらせてほしいと会社に要求をしているので、会社は、会社の方針に従順でないあなたを勤務態度が悪いと評価したのでしょう。しかし、休憩をすることは法律で認められた当然の権利であるため、休憩を要求したことをもって勤務態度が悪いと評価することには相当無理があります。したがって、今回の解雇は無効と判断される可能性が高いでしょう。


   試用期間は他にも様々な法律上の問題が生じます。多いのが試用期間の一方的な延長です。試用期間の延長は、試用契約を結んだ際に予見しえなかったような事情により適格性の判断をなしえなかった場合などに限定されており、基本的に認められるものではありません。なお、今回のケースのように、試用期間中の賃金が本採用後の賃金よりも低いことは、特に問題ありません。

   中小企業では、労働法の理解が不十分な会社が、突然解雇してくることがよくありますが、試用期間だからと言ってあきらめる必要は全くありません。不当解雇された場合は、賃金の3~6か月分が解決金として会社から支払われるケースが多いので、お早目に弁護士に相談をして対応してみてはいかがでしょうか。(文責:「フクロウを飼う」弁護士 岩沙好幸)


   ポイントをまとめると、

1:試用期間とは労働契約を解約できる権利が企業に残っている状態で結ぶ労働契約であり、いつでも簡単に解雇できるというわけではないが、試用期間外よりは広く認められる。
2:試用期間だからと言ってあきらめる必要はなく、不当解雇された場合は解決金の支払いを求めるべく弁護士に相談してみる。
岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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