「餃子の王将中国撤退」に見る、日本風と現地化のバランスの難しさ

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   先日、餃子の王将が中国から撤退するという記事がでていて、J-CASTニュースでも取り上げていました。「『なるほど、そうだったのか』 餃子の王将が中国から撤退した素朴すぎる理由」(2014年11月7日)。

   理由はいろいろあるのですが、「そもそも中国では餃子をご飯と一緒に食べない」というのは、カンボジアのカレー屋で苦労していることと被って、共感してしまいます。

「クメール語も読めないカンボジアンも結構いる」

個人的には、右側の看板ものすごくお気に入りなのですが・・・
個人的には、右側の看板ものすごくお気に入りなのですが・・・

   海外で商売をしていて分かることは「日本人がいいと思うことは、必ずしも外国人もいいと思うわけではない」ということです。例えば、上の写真の2つの看板、皆さんどっちがイケてる看板だと思いますか?

   サムライカレーの研修生が看板に記載することを決め、とりあえずパワーポイントにまとめたのが左の看板。それを元に、日本人のデザイナーの方に作ってもらったのが右の看板です。さて、カンボジア人スタッフにこのふたつを見せて、どちらがいいといったでしょうか?

   話の流れから明らかだと思いますが、答えは左です。

   なぜか。まず、この看板を作る際に行った路上のアンケートとりに立ち戻って考えてみます。

   サムライカレープロジェクトの研修の一環として、店の周りのカンボジア人50人にアンケートを取ったとき、研修生は最初英語でアンケート用紙を作って回答をもらおうとしていました。しかし、全然集まらない。なぜなら、プノンペンのちょっと郊外にあるサムライカレー店舗の周りのカンボジア人のほとんどは英語が読めないからです。

   この時点で、英語で書かれている看板は駄目だということです。

   そこで、カンボジア人スタッフにこの英語のアンケートをクメール語に訳して書いてもらい、アンケートを行ったところ、回収率は50%程度でした。この回収率の低さの原因のひとつは「クメール語も読めないカンボジアンも結構いる」です。

ホームだと思ってもらうかは重要な課題

   これを踏まえて街を歩くと、『「ビールの写真が3個」= 1.5$』みたいな看板が多いことが分かります。この地区のカンボジア人の庶民の人たちに来てもらうためには、文字が読めなくても分かるような工夫が必要なわけです。

   じゃあ、このデザイナーがデザインした看板をクメール語にしたらどうか?と聞いたら、カンボジア人スタッフは「それもちょっと...」といいます。

「あまりきれいなデザインだと、アウェー感を感じる人が多いと思います」

   貧富の差が激しく、きれいな屋根付きエアコン付きのレストランなんてここ数年出来はじめたばかりのプノンペン(のちょっと郊外)。ここではまだ、日本標準レベルのデザインは受け入れられないようなのです。確かに、我々が大好きなきれいなカフェには、カンボジア人のお客さんはあまりいません。

   サムライカレーのコンセプトとして、現地在住の欧米人と、カンボジア人の人たちの憩いの場にしてほしいということがあるので、いかにしてカンボジア人の人にホームだと思ってもらうかは重要な課題です。

   なので、こうやって、道ばたの人を聞き、カンボジア人スタッフとディスカッションしながら、落としどころを探る毎日です。日本風でいっても良さが理解してもらえないけど、現地風にフリすぎると現地のレストランと差別化ができない。このジレンマが餃子の王将にもあったのだと思います。

   この正解はどこにもないので、我々も日々試行錯誤しております。


   こうした試行錯誤を体験したい人は、ぜひサムライカレープロジェクトを体験してみてください。1週間から参加できるようになりました。電子書籍の無料配布キャンペーンもしてます。詳しくは、サムライカレーWebサイトまで!(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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