スペイン・バルセロナ観光の最大の目玉といえば、「サグラダ・ファミリア」。バルセロナが誇る天才建築家、ガウディが生涯を捧げた最高傑作にして未完成の聖堂である。現在も建設が続いており、彼の没後100周年にあたる2026年の完成を目指している。
サグラダ・ファミリアといえば、建物外側のファザード(正面と側面のこと)があまりにも有名。キリストの苦しみを表現した受難のファザード、キリストの誕生から幼少期までを彫刻で表現した生誕のファザードは、訪れた観光客たちを出迎え、圧巻する。
水平360度、垂直180度に自由自在
一方でその内部の様子は、それほど知られていないかもしれない。しかし、日本にいながらにして、その「内部」を見ることができる。サグラダ・ファミリアのウェブサイトで詳しく紹介しているのだ。しかも、ただ単に写真並べられているだけではなく、少し変わった方法で――
日本語訳されたサイト(スペイン語と英語表記がメインのため訳文に違和感をあるところも)の左部にあるメニューで「バーチャルツアー」を選択すると、建物内部の画像が表示される。マウスのクリック&ドラッグ操作で、水平方向に360度、垂直方向にも180度、ぐりぐりと動かして見ることができる。
特に天井部のステンドグラスや床面のタイルはなかなか見ることのできない美しい光景。これを実現しているのはおそらく、撮影者を取り囲む全方位の景色を一度に撮影することができる「全天球カメラ」で、最近では光学機器などを扱うリコーが新製品を発売して話題になっていた。
心奪われた「動」と「静」のギャップ
このサイトに刺激されて(?)、筆者は先日、現地を訪れてきた。挿入した写真のような立体的なデザイン、それを見た観光客たちのどよめきのような外側の「動」と、美しい内装も手伝ってか神聖な雰囲気漂う内側の「静」のギャップに心を奪われた。
バルセロナにはこのほかにも同じくガウディが設計した庭園住宅「グエル公園」や、華麗な装飾が必見の「カタルーニャ音楽堂」、サッカーファンなら「FCバルセロナ」の試合観戦など見どころが満載。イベリコハムやスペインワインも手頃な価格で楽しめるので、「食いだおれの旅」の行き先としてもいい。
思わず笑ってしまったのは、「シエスタ」の文化。昼から夕方までの時間に昼寝をするもので(もちろん、すべてのスペイン人がそうというわけではないだろうが)、平日でも商店の多くが閉まり、その間は買い物などは難しくなる。話には聞いていたが、「こんなにたくさんの店が閉まってしまうのか!」とおかしくもあり、そのスローな感じが少しうらやましくもあった。(岡徳之)