キャバ嬢を辞めた後、福祉の仕事に就いてもらえるか
福祉系の仕事をする若い女性の一部が、キャバ嬢になっているという事実は、三浦展氏の『女はなぜ、キャバクラ嬢になりたいのか?』(光文社新書)、『ニッポン若者論』(筑摩書房)などでも、指摘されています。
先日、念願叶って、三浦氏と対談をさせて頂く機会があったのですが、福祉の仕事と「風俗産業」の共通点というお話になりました。
キャバクラで、酔っ払った男性の話を聞くのも、保育園で子供の面倒を見るのも、介護施設でお年寄りの世話をするのも、本質的には「ケア労働」であり、「感情労働」です。
ただ、現状では、「介護士を辞めてキャバ嬢になる」人はいても、「キャバ嬢を辞めた後、資格を取って介護士になる」人は、あまりいないようです。キャバ嬢を専業にしている女性の多くは、30歳近くなると、ネイルアーティストなど美容系を目指したり、専業主婦になりたいと願ったりするパターンが多いのです。
三浦氏は、「公然とはできないが、若い女性がキャバクラ卒業後、福祉系に移行できるようなシステムを作るべきだ」と仰っていました。対人コミュニケーション能力に長けた彼女たちは、福祉系の現場でも活躍できるはずだからです。
先の真奈美さんは、保育士の資格を活かして、「キャバ嬢を辞めたら、また昼の仕事に戻ると思う」と話していました。しかし、経済的な不安があるようで、「でも、保育士はお給料が低くて、1人では生活していけない。なるべく早く、誰かと結婚しなきゃ......」とも。
現状では、資格を持っている真奈美さんのような女性でも、福祉職で経済的に自立できるかどうかは、微妙なところ。「キャバクラ卒業後の福祉系への移行」を促すためには、介護士や保育士の賃金を(キャバクラ並みとまでは言わないまでも)、せめて他の正社員と同じような水準まで、引き上げる必要がありそうです。(北条かや)