「就職希望先はアパレル販売」というリケジョ 今どき「理系」の就職先とは

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大手電器店の販売員や、コーヒーチェーン店の店員も

   企業さんもここらの事情はよーく理解されているようで、「大卒の理系学生」を「研究者や技術者の卵」とは、ほぼ考えていないようである。そうそう、たまに3年生の2月とか3月の就職活動中に「卒論のテーマ」を質問する企業さんがある。無理難題を言わないでください。一般に卒論が始まるのは4月です。

   ということもあり、「理系の職」に就きたければ、就職活動を考慮しても2年間は研究に没頭したはずの「大学院修了」というのが必要条件かな。有名どころの大学では、入学式の日に、

「君たちは4年で社会に出るのではなくて、卒業後2年大学院に行って就職するのが普通だと思いなさい!!」

なんて発破をかけるところもあるらしい。

   ただ、この連載の2回目で書いたように、「他者依存型」や「何処でもよかった型」で理系に進んでしまったという学生が居るのも事実ですから、我々が思うほど、当人は「理系の職」にこだわっていないのかもしれません。数年前に研究室に居たリケジョ、「どんな職種を希望してるのですか?」と問うと

「アパレルとかいいな~って思ってます~」

   ア、アパレル...アパレルってなんだっけ? そうか、服飾関連の産業の事か。

「じゃあ、服飾素材の開発とか?」
「いいえ、お店で、洋服とか売ってみたいで~す。楽しそうですし~」
「......ハウスマヌカンですか」

   可愛い教え子の希望であるから、

   「う~ん、どう専門と結び付けよう...」とエントリーシートの内容など一緒に知恵を凝らした。そのリケジョ、希望通りアパレルとはいかなかったが、何とか妥協できる範囲の職種に就職ができた。ちなみに、彼女の同級生のリケダンのうち、1人は大手電器店の販売員、別の1人はコーヒーチェーン店の店員(アルバイト先で店長候補と口説かれたらしい)になった。まあ、本人の希望が第一ですからね。(プロフェッサーXYZ)

プロフェッサーXYZ(えっくすわいじぃー)

国立大学を卒業し大学院修了後、助手として勤務。現在は東日本の私立大学の教授であり、フラスコを持ったリケジョの研究指導をしたり、シュレディンガー方程式に頭を悩ませる男子学生の教育を行ったりしている。受験戦争世代と言われた時代から、バブル世代、ゆとり世代、そして、ゆとりは終わった?という現代まで様々な教育・研究現場を肌で体験している。大学教育のみならず初等~高等教育の現場とかかわりを持ち、日々「良い教育は?」の答えを模索し続けている。ちなみにカクテル好きというわけではない、下戸である。また、「猫」も飼っていない。
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