育成法より職場環境作りが重要
自分のやり方を批判された形のNさんは、少し不機嫌な様子で返します。
「うちにも事務の女性は何人かいるけれども、彼女たちを戦力化する女性の育成はどうやったらいいって言うんだい。うちみたいな会社では無理だよ。できる方法があるなら、教えて欲しいものだ」
皮肉まじりNさんの反論を、今度はGさんが自信満々の顔つきで再度返します。
「さっき言ったでしょ。女性活躍の場実現に向けては、いかに女性スタッフが気持ちよく前向きに働く気になってくれる職場環境を作れるかだ、って。どうやって女性を育成するかじゃないんですよ」
「そりゃ、どういうことだい。詳しく説明してくれよ」
Nさんは、さらに強い口調になりました。
するとGさん、
「だから、『女尊男卑』ですよ。言いかえれば男性が陰となり日向となり、女性をいかに働きやすくなるよう、いかに働き甲斐を感じてもらえるよう、管理者を含めた男性陣が『女尊男卑』で動くよう教育するんですよ。もちろんまずは、社長自身が女性に活躍して欲しいと心から思うことが第一ですけどね」
と力強く持論を展開したのです。
カウンターの内側でこのやり取りを聞いていていた店のママが、このままではまずいと思ったのか、場を和ませようと割って入ります。
「私がこうして女手ひとつでお店を切り盛りしていられるのも、Nさん、Gさんはじめ、男性の皆さんがやりがいを感じさせてくれているからだもん。当店も『女尊男卑』のおかげでやらせていただいております(笑)」
Nが帰った後にママがしみじみ言いました。
「さっきのGさんの『女尊男卑』のお話、興味深いわね。保険の外交員だって、アパレルショップだって、最近ではパート社員の店長さんも珍しくなくなってきたスーパーマーケットだって、みんな周囲の男性スタッフが女性にとって働きやすい職場を作ろう、働き甲斐を感じてくれる職場を作ろうとがんばってくれているから、女性が活躍できているってわけなのね」
GさんとNさんの話は平行線であったように、現実にはどこの職場でもすぐにできることではないのかもしれませんが、女性活躍の場づくりをするヒントがキャバクラの『女尊男卑』管理にヒントありとは、私にとってもちょっと「目から鱗」のお話でありました。(大関暁夫)