常連客がカウンター席に集まる行きつけの飲み屋に顔を出すと、顔見知りで私の同業と聞いているGさん中心に会話がはずんでいる様子。この日の話題は、安倍政権が単に女性管理者の目標人数などを大企業や官庁に義務づけしようとしている女性活躍戦略のようです。
話の流れで、実は以前キャバクラの雇われ店長をやっていたことがあるとカミングアウトしたGさん、カウンター席のお歴々に自身の経験から女性活躍の場づくりのコツを披露していました。
「女性スタッフが気持ちよく働く気になってくれるか」が最優先
「お分かりとは思いますが、大企業でも官庁でも根底にある男尊女卑の考え方が変わらぬ限り、女性に活躍の場をと言いながらも女性管理者の人数目標なんて所詮は数合わせ。どうしたら女性が活躍できるかと本気で考えてなんかいないんだから、大企業や官庁ではあまり実りのあるものになるとは思えないですね。でもキャバクラはそうはいかない。女性に活躍してもらわなければ、我々が食べていけない世界なんですから」
Gさんによれば、職場としてのキャバクラは徹底的な『女尊男卑』とか。男性店長はじめ、通称「黒服」と呼ばれる男性スタッフたちは皆、いかに女性スタッフが気持ちよく前向きに働く気になってくれるかを最優先して働いているのだと。店長にも「黒服」にも、「女性ががんばってくれなければ、困る」という危機感があるからこそ『女尊男卑』になるのだそうで、この危機感なくして古くから男尊女卑が根付いている日本で女性活用などできっこない、とまで断言しています。
この話をカウンター席私の並びで聞いていた同じく常連の自称会社経営Nさんが、口を挟みました。
「キャバクラは、女性が働いてくれなければビジネスそのものが成り立たたないからGさんの理論が成り立つけど、我々しがない商社じゃ無理、無理。女性抜きでも何も困らないし、扱いの難しい女性を育てるより、男性を育てた方が早いって思っちゃうからね」
酒の勢いもあってか、すかさずGさんが応酬します。
「Nさん、そりゃもったいない。中小企業は男性の良い人材をみんな大企業に取られちゃっているんだから、大企業がそっぽを向く優秀な女性の活躍に力を入れた方が、会社の人材のレベルが断然上がると思いますよ。僕はキャバクラ店長の経験を活かして知り合いの会社の女性活用もお手伝いしているけど、やっていて思うのはサービス業とか営業とかはその気になれば絶対に女性の方が力を発揮するということです」