内定者拘束は復活するか 「フルコース料理をごちそう」の夢と現実

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16卒採用で内定者拘束は復活?

   もちろん、今ではそこまでこだわる企業はほぼないでしょう。大学ブランドにこだわる企業であっても「早慶上智あたりから1人」とか「MARCH(明治・中央など)クラス・国公立から」とか、かなりざっくりとしています。優秀な千葉大生も、優秀でない他大生もどうぞご安心を。

   1980年代に豪華絢爛となった内定者拘束ですが、その後、1996年の就職協定廃止や景気の長期低落、売り手市場から就職氷河期への転換などによって、2000年前後には姿を消します。変わって、内定者研修が重視され、現在に至っています。

   そして、現在、ひっそり進行中の16卒採用。4年生8月1日が選考解禁となる以上、内定者拘束が復活するのではないか、と観測する記事も出てきました(週刊ダイヤモンド2014年10月18日号)。

   私はやや否定派。少なくとも、ディズニーランドや那須の保養所に連れていって遊ばせる、なんてものはないでしょう。1980年代と大きく異なるのはネット・携帯電話の普及です。どんなに内定学生に対して口止めされても、目撃した観光客や従業員などから情報が漏れる、ということだってあり得ます。

   あり得るとしたら、8月1日に最終選考(という名の意思確認)だけやる、内定者研修・インターンシップなどをぶつける、などではないでしょうか?もちろん、内定者研修の間においしい晩御飯を食べさせるくらいはするでしょうけど、それだってフランス料理フルコース、なんてことはないはず。

   というわけで、16卒採用の就活学生は来年、内定が出ても「内定者拘束でフランス料理を食べさせてくれるんですよね?それか、車か牛のプレゼントとか」などと間違っても言わないようにしましょう。言ってどうなっても当方は関与しませんので念のため。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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