内定者拘束は復活するか 「フルコース料理をごちそう」の夢と現実

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大学名差別重視だからこその内定者拘束も

   2010年代現代と1980年代での就活で大きく異なるのはもう1点、それは大学名差別です。

   今なお、あれこれ言われる大学名差別ですが、1980年代当時はもっと強烈でした。

   大手企業からすれば、大学ブランドを強く見ていたのです。そのあたりの事情を見るために先ほどの『労務事情』の記事に戻るとこんなエピソードが描かれています。内定者が足りない採用担当者に対して筆者か誰かが学生を紹介するのですが...。

「家庭の事情で就職活動のスタートが遅れてしまい、困っている千葉大生がいます。非常に優秀な学生です」
「ダメだ。欲しいのは早稲田の商学部なんだ。政経でも法でも、慶應でもない。早稲田の商学部だ。誰かいませんか?」

   千葉大で優秀ならいいじゃないか、というのは現代の価値観です。記事では「そんな会話が当たり前のようにかわされていたほどである」と締めくくられています。当時は千葉大で優秀でも、慶応でも早稲田の他学部でもダメ。採用担当者が「早稲田の商学部」と言ったらそこ限定。それくらいこだわるのであれば、確かに内定者拘束も必要だったのでしょう。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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