「フィリピン最後の秘境」から日本人を阻む「英語力の壁」

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   先日、「フィリピン最後の秘境」と呼ばれるエルニドというところに行ってきました。

   素晴らしく澄んでいる上に美しいコバルトブルーの海があり、写真の様にまるで船が飛んでいるように見えるなか、シュノーケリングやカヤック、スキューバダイビングを満喫してきました。

   この「フィリピン最後の秘境」ですが、秘境と言うほど行きにくい場所ではありません。

   マニラから飛行機で1時間半、安い便なら片道1.5万円以下。東京-マニラの往復も安いときなら4万円程度でとれますから、航空券代は全部で7万円くらい。現地の宿は3000円も出せばエアコン、ホットシャワー付きの快適な宿に泊まれます。美しい海の島に行くツアーが2000円程度、スキューバも1本3000円程度とリーズナブル。4、5日の日程で行っても食事も含めて15万円もかからないはずなので、通常の海外旅行と同じ程度です。

沖縄にもあるオススメポイント

恐ろしく澄んでいて、かつエメラルドグリーンに輝くエルニドの海
恐ろしく澄んでいて、かつエメラルドグリーンに輝くエルニドの海

   しかし、やはり「秘境」であるのか、現地滞在中は日本人に一度も出会いませんでした。その理由はおそらく英語です。

   マニラからエルニドに行く飛行機は、小さな飛行機会社でネットではチケットが取れず、旅行代理店に頼むか、英語で直接事務所でとる必要があります。また、現地でも東南アジアならどこにでもある日本人経営の旅行会社やダイビングショップは(私が探した限り)一軒もなく、英語でのアクティビティが必須となります。

   現地で一緒のツアーになったアメリカ人は、私たちに話しかける前に現地人ガイドに「あの日本人は英語が喋れるの?」って聞いてから話しかけてきました。どうやら、「日本人が英語を話せない」のは本当に有名なようです。したがって、英語必須の観光地は日本人に取っては「秘境」になってしまうのかもしれません。

   だからといって、全ての日本人は英語を学んで「秘境」に行けとは言いません。

   私がダイビングした中で、海の水の透明度ベスト3は「チリ イースター島」「エジプト ハルガダ(紅海)」と「沖縄 阿嘉島」です。

   中でも、阿嘉島はそのあまりの透明度で、水面に浮いているとき、まるで自分が空を飛んでいるようでした。しかも、この阿嘉島は那覇からフェリーで1時間以内で行けます。

   このように、日本には素晴らしい場所がたくさんあるので、わざわざ「秘境」にいかずとも、充分に人生を楽しめるわけです。

「英語を勉強するか、しないか」の選択の重要性

   これは、日本人が英語が話せないわけと一緒です。日本では、読み切れない量の、しかもかなり高度な学術書に関しても日本語に訳されているため、研究者にでもならない限り英語の文献に当たらなくても充分生きていけます。

   途上国の本屋に行くと、自国語の本のあまりの少なさに唖然とします。大学はもちろん、国によっては高校程度の学問をするためにも英語の文献に当たることが必須になってしまう場合も多いのです。このような国では、英語ができなくては大学を卒業することができず、従ってホワイトカラーの人は自然と英語ができてしまうのです。

   日本人が英語ができない理由の最大の原因、モチベーション。これをいかに克服するかがポイントなのですが、「『秘境』に行かなくてもいいや」と思っている人は特に勉強する必要もないと思います。国内で生きていくことを決めてしまえば、それはそれでなんとかなるはずです。

   「ホワイトカラー職で生きていきたいけれど、英語は勉強しない」という選択肢がとれるのも日本で生まれた特権。これを活かして生きていくのも良い生き方だと思います。

   ただ、日本経済の力が弱まると、この「特権」は徐々に縮小していき、選択肢が狭まっていくので、その辺をよく考えて、自分の責任で英語を勉強する、しないの選択をする事が大切です。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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