内定学生さまに「300万円の車」プレゼント 「お好きな牛をどうぞ」の会社も

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内定学生には300万円の車プレゼントもしていた!

   1990年に刊行された人事担当者向けマニュアル本『採用内定者管理の進め方』(知念実、ぱる出版)には、当時の就活が学生にとっていかに有利だったか、その事情が赤裸々に描かれています。

   現代の採用担当者向けであれば、内定者というテーマなら内定者の研修をどう進めるか、というのが大きな問題でしょう。もちろん、内定辞退も大きなテーマではありますが、あれこれ大盤振る舞いしてまで引き留める社はそうそうないはず。

   ところが、同書にはその名も「採用内定者に対してプレゼント作戦でフォローする」という章があります。

   ざっと列記すると、背広(できるだけ有名ブランドにして、父兄にも仕立券をプレゼントする)、ローン(社宅購入資金、高級車など)、学費援助などが並び、車(300万円相当)も登場。

   300万円の車というのは、このマニュアル本以外にも、当時の就活学生がほぼ全員読んでいた『就職ジャーナル』(リクルート)1989年12月号にも登場しています。夏目房之介さんのコラム「社会の窓」で「89就職戦線」と題した回では、冒頭にこの車プレゼントが出てきます。

   何でもトヨタクレスタ級の車、300万円相当、採用枠は5人までとあります。実施したのは大阪の中小企業。なお、同社は現存し、1989年時点から社員数はほぼ倍増の190人。新卒採用も継続していますが、車プレゼントなど、今ではどこにも書いていないことは言うまでもありません。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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