「労働時間ではなく成果を評価」制度の本当の評判 「7割賛成」や「半数超『わからない』」の調査結果

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   事務職などの労働者を対象に、労働時間の規制の適用を免除し成果に給与を支払う制度「ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)」について、「経営者や管理職、人事担当者らビジネスパーソンの7割が賛成している」との調査結果がこのほど発表された。

   WEをめぐっては、その対象について「年収1000万円以上を目安に、高度専門職に限る」などと提案されている一方、なし崩し的な対象拡大への懸念や、「残業代ゼロ法案」との批判も根強くあり、別の調査では半数超が「わからない」と回答するなど、さまざまな受け止め方が交錯している。

「残業代稼ぎのために残る社員が減る」と期待する向きも

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   「7割賛成」の調査結果は、人事支援サービス業などの業績向上支援を行うアイ・キュー(東京・港区)の運営するポータルサイト「日本の人事部」が、2014年10月8日に発表した。調査は、14年9月16日から10月6日にかけて、ウェブアンケート方式で実施された。

   対象は、「経営者、管理職、人事担当者など」の「全国のビジネスパーソン」(有効回答306社)。WEに「賛成する」、「どちらかと言えば賛成する」と回答したのがどちらも34.8%。「どちらかと言えば反対する」が12.1%、「反対する」が17.7%で、約7割が「WEに賛成」という結果になった。

   理由については、賛成が「もともと労働時間の長さで成果を測ることには無理がある」「導入することで生産性向上につながる」。反対では「長時間労働を招く」というものが目立った。

   WEに期待する効果は、「残業代稼ぎのために理不尽に残る社員が減る」「個々の社員の能力を正当に評価できれば、生産性の向上につながるはず」などが挙げられた。一方反対派は「そもそも効果などない」と考えているようだ。

制度への理解「まだまだ低い」

   この結果を紹介する記事に寄せられたツイッター反応などに目を通すと、調査対象が「経営者、管理職、人事担当者など」だった点に違和感を持つ声が少なくなかった。

「(経営者と管理職の)都合のよい理屈を並べ立て、格差と搾取を増大させるだけの制度になる恐れがある」
「経営者と管理職は残業代を支払う側」

といった声が並んだ。また、

「(今は1000万円超が対象と言っているが)そのうち下がっていくのは目に見えている」 「最初は年収1000万円とか言っているけど、あっという間に年収関係なくなるのが目に見えてる」

と、「年収1000万円」の線引きが、いずれ下げられるのでは、と懸念を示す意見もあった。

   WE制度をめぐっては、こんな調査結果もある。日本能率協会グループが14年7月17日に公表した「『ビジネスパーソン1000人調査』働き方に関する意識」によると、WEについて「こうした働き方をしたいと思うか」を聞いたところ、「したい」が19.7%、「したくない」は24.8%だった。最多は「どちらともいえない/わからない」の55.5%で半数を超えた。調査対象の内訳は、正社員60.0%、契約・嘱託社員25.4%、経営者2.5%など。

   調査結果について同グループは、「現状ではビジネスパーソンの(WE制度に対する)理解はまだまだ低いと言わざるを得ません」「メリット、デメリットを含めて丁寧に説明を重ねる必要があるでしょう」と総括している。(MM)

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