「『何でもできますよ』では、転職できません!」
Mさんは言います。「中途採用だと、企業側は、『この問題を解決してくれる人材が欲しい』など、要求がピンポイントなんです。だから、年齢や希望年収が高くても、アピールポイントが転職先と上手くマッチすれば、スッと決まることも多いんです」。
しかしながら、コンサル出身のFさんの転職活動は、長引くばかりです。Mさんは、悩んだ末、この際ズバッと、Fさんの『弱み』を指摘することにしました。「忙しいから」と言うFさんに、なんとか「電話面談」をお願いしたのです。
「お忙しいところ、ありがとうございます。Fさんについては、多くのクライアントから、『全体的なスキルは素晴らしい』との評価を頂いています。ただ、『何でもできます』では、クライアントも、何を任せれば良いのか困ってしまう。もっと、ご自身が、『御社でこれをやりたい』というのを、積極的にアピールして欲しいんです。ご経歴が素晴らしいからこそ、『これはできない』という『弱み』も見せてください。そうすれば、きっと上手くマッチすると思うんです」
こう言い切ったMさん。電話を切ったあとは、手に汗びっしょりでしたが、Fさんからは、次のようなメールが来ました。「ご指摘、ありがとう。自分でも、転職先で何がしたいのか分からず、悩んでいたところでした。これからも頼りにしています」。38歳のFさんは、その後、「自分に何ができるのか、できないのか」、じっくり向き合い、無事にメーカーへの転職を決めたそうです。
「『生意気ですみません』って思うことは、多々あります。でも、キャリアの専門家だからこそ、見えてくる『弱み』もあるんです。転職が決まったお客様から、お礼のメールが来ると、あの時、ズバッと指摘してよかったと思いますね」(Mさん)
Mさんは、3年後の33歳までに「シニアコンサルタント」に昇格することを夢見て、今日も多くのクライアントと向き合っています。(北条かや)