「えっ、本当にこれだけしか収入がないの?」
「嘘じゃないです。パートの母と高校生の弟の3人家族なもので。」
「そう...じゃあ、優先的に奨学金を探さなきゃ。これなんて...」
妻の学生相談窓口での思い出だそうである。育英会の奨学金も獲得できたが、某ファミレスチェーンから返還の必要のない奨学金をもらえたとのこと。
苦学生の状況は今も昔も変わらない
おかげさまで、「お付き合いに費用がかさむのでお嬢様のお友だちはなるべく作らない」などの工夫をしながら、何とか短大生生活を無事過ごせたらしい。唯一の息抜きが若い娘に特典の多かった「ディスコ」だったというのが時代を感じさせる。まあ、夕飯代わりにもなったし...というのが他の娘の目的とは一味違うと思うが......。
今でも我が家ではその奨学金を支給して頂いたファミレスを優先的に利用しているので、ちょっぴりは恩返しできたかな。ちなみに、育英会の奨学金も独身OL時代に無事全額返してしまったそうである。
一世代前の話ではあるが、苦学生の状況は今も昔も変わらない。現在の経済状況だと企業からの奨学金は期待できず、どうしても公的な奨学金に頼らざるを得ない。まあ、極めて優秀であれば特待生で学費免除になったり、返済義務のない奨学金を大学から貰えたりする。まあ、「その大学で極めて優秀」になるかは入学前からの戦略が必要かもしれないけど。
さて、日本育英会の奨学金とその事業は、現在、日本学生支援機構に引き継がれている。学部の間は私の妻のように経済的にとても苦しい学生メインに、大学院生に関しては若干枠も広がり...というか支給対象も減るので、そこまで苦学生じゃなくても貰えるようである。まあ、優遇があるとはいえ借金だし、そこまで支給要件が厳しくはない。無利子の1種は貰えなくても有利子の2種だったら、なんとか。