男性育休取得推進は「目的」ではなく、「手段」だ
これらの情報から見えてくるのは、男性育休取得推進は「目的」ではなく、「手段」であるということだ。具体的には...
●業務改善→組織力向上
男性の仕事内容は「非定型的かつ基幹的」であるケースが多いため、職場内で仕事の進め方やその配分方法を見直すなどの取組みが必要。 結果的に、育休以外でも不測の欠員等の事態にも対応しうるなど、組織のフレキシビリティが高まり、職場の危機管理能力も高まることにつながる。
●人員育成→組織力向上
休業取得者の担当していた仕事を、同職場の若手に割り振ることで、彼らにとっては能力開発、能力発揮のチャンスとなり、仕事の幅を広げる機会となり得る。育休の性質上、対応を計画的に行うことも比較的容易。社員の育児参加を進めることが、結果的に職場の業務改善のきっかけになり得る。
私自身の実感値も含めて、「男性が育休を取得しやすい」職場の共通点としては、次のような要素が挙げられる。
・職場内(上司-部下、同僚同士)のコミュニケーションが円滑
・仕事で困った時に助け合う雰囲気がある
・仕事の手順を自分で決めることができる
・仕事に必要な職業能力が明確である
・組織内で必要な情報を共有できるように工夫している
・仕事の進捗に応じて、業務配分や目標を柔軟に変更している
どうだろう。これらの要素は、特段「育休取得推進のため」というより、普通に「成果が出る組織の共通点」といってもよいものではなかろうか。ぜひ読者の皆さま方の組織においても、出来るところから着手頂き、結果として育休推進によるワーク・ライフ・バランスと業績、双方を手にして頂ければ幸いである。(新田龍)