残業が悪である本当の理由 「ブラック企業は生き残れない」パート2

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育休を取得したメリットとは

   ちなみに、新卒採用メディア「ジョブウェブ」が2014年度卒の就活生約350人(東大、京大、早慶など上位校中心)にリサーチした結果によると、彼らが「企業選択基準として重視する点」の中で、「ワーク・ライフ・バランス」の優先順位は、「教育・研修制度」「企業規模」、「世間の評判」、「知名度」、「安定性」といった要素より高かった、という事実もある。

   しかし、現実はまだまだ理想には遠い。実際の育休取得率を男女別にみると、女性の取得率が2011年度で87.8%であるのに対し、男性はわずか2.6%だ。数字がどうこうよりも、法律で男女ともに育児休業を取得する権利を認められていながら、活用できていないこと自体に疑念を抱くべきであろう。

   では、なぜ育休を取得しない、もしくはできないのか。少々前のデータになるが、内閣府男女共同参画会議少子化と男女共同参画に関する専門調査会による『両立支援・仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進が企業等に与える影響に関する報告書』(2006年12月)で、赤裸々な実態が報告されている。

「会社に育休制度がないから」
「仕事の都合がつかないから」
「職場に迷惑がかかる/理解が得られないから」
「昇進・昇給などに影響があるから」......

   自分の人生であるにも関わらず、ここまで職場に遠慮しなければならないというのは、よく考えれば異常ではなかろうか。

   一方で同レポートには、育休を取得したことで感じられたメリットについても紹介されている。このようなものだ。

「仕事の進め方について職場内で見直すきっかけになった」
「育休利用者の仕事を引き継いだ人の能力が高まった」
「各人が仕事に効率的に取り組むようになった」
「職場全体の生産性があがった」...
新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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