「残業は悪だ!」の根源的な問題
私は常々、「残業は悪だ!」と強く主張している。皆さんはその理由を何だとお考えになるだろうか。
一般的な回答としては...
社員にとっては「自由な時間がなくなるから...」
会社にとっては「残業代がコストになるから...」
といったところが考えられる。確かにそのとおりだ。しかし、もっと大きく、根源的な問題があるのだ。それは...
(A)仕事の効率が悪くなる
(B)会社、組織、社員が抱える潜在的な問題が見えなくなってしまう
(C)有能だがフルタイムで働けない人の戦力化を妨げてしまう
からである。順に詳しく見ていこう。
まず、
(A)仕事の効率が悪くなる
について。
OECDによる、主要国における年間の労働時間を示した表をみると、日本の労働時間は以前よりは減ってきているものの、相変わらず先進国中トップクラスの多さだ。しかも、これは公的に捕捉されている時間のみであるから、記録には現れない「サービス残業」まで含めれば、間違いなく世界トップ(すなわち、ワースト)といえるだろう。
では、それだけ長時間働いているなら相応の価値を創出していていいはずであるが、「労働者一人当たりの労働生産性」をOECDデータからみると、これまた日本は先進国最低水準であり、しかも主要先進7か国中の最低記録を1994年から20年連続で獲得し続けている。すなわち日本の労働社会は、頑張って長時間働いても価値を生み出せない、負のスパイラルに陥っているといえよう。