ビジネスメールを返信するタイミングは、人によって違う。「できるビジネスパーソンはメールの返信が早い」という意見は多く、「メールは即レスが良い」と考える向きは少なくない。一方、「集中力が途切れるので、即レスは避けたほうがいい」との主張も根強くある。一体、どちらが正しいのか。
「その場で一言でも、返信しておくのが礼儀」
「メールは即レス派」の主張は、「できるだけ早く返信するのがマナー」というものだ。たとえば、ニュースサイト「誠 Biz.ID」に掲載された吉田憲吾氏のコラム、「メール管理術:メールの返信はいつすべきか?管理する5つのポイント」(2013年4月24日)では、返信のタイミングは人によって異なり、「返信する時間帯を作ったほうがよいという意見もある」と前置きした上で、それでも「即レスしたほうが良い」と主張する。
理由は、「自分がボールを持っている時間は短いに越したことがないから」。すぐには返信できないとしても、とりあえず「メールを受信したことを相手に知らせておいたほうが良い」という。「かしこまりました」の1文でも、返信するのが「礼儀」なのだ。
確かに、返信が遅くなればなるほど、相手は、「きちんと読んでいるのだろうか」「こちらの意図は伝わっているだろうか」と、不安が募る。デキるビジネスパーソンたるもの、こうした不安をできるだけ解消するのは当然、というわけだ。
「メールチェックは1日2~3回で十分」
一方、「即レス派」に対し、異議を唱える人もいる。『96%の人がやっていない 稼ぐ人の常識破りの仕事術』(アスコム)の著者で、コンサルタントの北岡秀紀氏は、「メールに即レスはNG」と明言する。メールの返信に気を取られて、集中力が途切れてしまうからだ。北岡氏は、「メールを読む時間」を作り、まとめて返信するよう勧めている。その方が仕事の効率も上がるという。
また、「返信は早いのに仕事の効率が悪い『メール処理依存症』になる人のダメな習慣」と題したダイヤモンド・オンラインのコラム(2013年8月7日)によれば、「メールチェックは1日2~3回まで」が良いという。新着メールに惑わされないよう、「ソフト自体閉じる」のがポイントだ。
言われてみれば、メールを片っ端から処理するのが「仕事の目的」になってしまっては、本末転倒だ。コラムでは、「業種によってはスピード返信が必須の場合もあり、一概には言えない」とした上で、「即レスしなくても大丈夫か?」との疑問に対し、次のように答えている。「返信が遅れてとやかく言われるのは、そもそもの信頼関係に問題があるのでは?早く返信する事よりも、仕事やサービスの本質的価値を上げることに注力すべき」。なるほど、「即レスしないと信頼されない」関係には、それはそれで別の問題があるのだろう。
記事を受け、ツイッターでは、「確かにメールの対応時間が多くなりがちだな」「耳が痛いね」など、「即レス」に気を取られていることを反省するつぶやきが見られた。
ちなみに、ビジネスメール教育などを手がけるアイ・コミュニケーション(本社・東京)が実施した「ビジネスメール実態調査2013」(2013年8月5日公表)によると、8割のビジネスパーソンが、「24時間以内」の返信を希望しているという。「即レス派」ではなくとも、1日以内には返信しておいた方が良さそうだ。(KH)