「部長、あなたの責任だ!」と吼える社長自身の「責任」

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ルール化、マニュアル化、IT化

   こうして考えると、今G社の現場で起きている問題は、実はS部長の問題ではなく社長の問題なのだと思いました。50人規模になった会社には、ルーチンワークの仕組み化が必要です。大企業がそうであるように、ルーチンワークと定型外の企画を伴う業務をしっかりと分けて、ルーチンワークは効率性を重視して誰が担当しても無駄なく抜けなくできるようにしなくてはいけないのです。

   仕組み化とは、具体的にはルール化、マニュアル化、IT化等を指します。どれも時間と労力とコストを要する作業であり、必要性に実感のない創業社長にその投資価値を理解してもらうのはなかなか難しい。S部長の話を受けて、すぐさまT社長に企業を成長軌道に乗せるためにも人をはりカネをかけてでも今仕組み化に取り組むべきと進言しましたが、いい返事は得られませんでした。

「マニュアルなんか作ったら組織がギスギスしてしまうからいらんし、業績横ばいの今、それをやるために利益を生まない人を雇うのは無駄。IT化?そんなものはもっともっと儲かってからの話だよ」

   もっともっと儲けるためにもマニュアル化、IT化という仕組み化が今必要なんですけどね、社長。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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