就活ナビの赤裸々な実態 「昔はよかった」と嘆く理由

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撤退を発表する会社も

   たまらないのは就職情報会社です。しかも2012年にはアイデム(就活ナビサイト名はジョブラス)が参入、2013年には学情が朝日新聞社と業務提携、それまでの学情ナビを朝日学情ナビに改称するなど競合企業が増えました。

   その結果、エン・ジャパンは2014年2月に就活ナビからの撤退を発表(現在のサイトは2015年3月末まで継続)するなど混沌としています。

   では、2014年10月現在はどうでしょうか。大手各社とも採用担当者との値段交渉では頭を抱えているようです。

   現3年生(2016年卒)から就活後ろ倒しが実施され、採用広報活動の解禁日が3年生の12月1日から3月1日と4か月遅れることになりました。この就活後ろ倒しは、以前このコラムでも解説しましたが、就職情報会社はこの解禁日より前にインターンシップサイトを開設しています。このサイトで実質的な会社説明会を展開しよう、という訳です。

   このインターンシップサイトで、ある社、まあ母さんナビ(仮称)とでもしておきましょうか。この企業のトップはとある事情でかなり強気となりました。「お前ら、今年は値段交渉でも強気で行け。インターンシップサイトでもしっかりと交渉しろ」と号令したそうです。要するに、掲載は有料でそんなにディスカウトするなよ、ということですね。

   ちなみに「とある事情」とはここではうっかり書けません。講演のときにでもこっそり聞いてください。

   ところが、母さんナビのライバル社、父さんナビや姉さんナビ、兄さんナビなどはいずれもインターンシップサイトでの掲載を実質、無料とするキャンペーンを首都圏、関西圏を中心に展開しました。インターンシップサイトを無料とする代わりに、来(2015)年3月以降の就活ナビサイト(関係者の間では本サイトなんて言い方もします)では掲載料をくださいね、というわけです。なんだか、新聞の3か月間はタダ、みたいな話ですね。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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