「ブラック・プレジデント」というドラマ(フジテレビ系)が、2014年4月から6月まで放送されていました。沢村一樹さんが演ずる大手アパレル会社のワンマン社長、三田村幸雄が私立大学の社会人学生となり、映画サークルの学生たちと関わりを持っていく中で、学生達に社会の現実を教えたり、逆に学生から気づきをもらったりするというドラマでした。
ドラマが描いた「世代間ギャップ」
滅多にドラマを見ない私は、興味深かったので全て見ました。
おそらく三田村社長は40代だと思いますが、ドラマの中で物事の考え方や行動で世代間ギャップが出ていて、ことあるごとに
「だからゆとりは困るんだよなー」
と言っていました。ドラマの中で三田村社長の考えが反映されているブラック語録というものがあり、以下のようなことが出ていました。
●三田村社長18のブラック語録
1:人間泳ぎ続けなきゃ沈むだけ!
2:僕も泳ぐからお前も泳げ!
3:息抜きなんて言葉はお前たちの辞書から抹消しろ!
4:死ぬ気でやる者だけに未来がある!
5:自分をコントロールできないやつは人の上にも立てない!
6:限界を超えて働いた者だけに未来がある!
7:昼食に30分以上かけるやつに未来はない!
8:能力の無き者はされ!
9:「仕事」とは会社に尽くすことだ!
10:努力なんて誰でもしている!結果を見せろ!
11:周りの人間を仲間と思うな!同志と考えろ!
12:目の前に困っている人がいたら、搾取できると考えろ!
13:自分に合う職場などない。自らが合わせろ。
14:「他人の為に仕事をする」などという考えは偽善にすぎない。
15:「無理」などという言葉は捨て、「どうするか」を考えろ。
16:人間の価値は「上」が決める
17:仕事を楽しもうという考えは捨てろ
18:人生はマラソンなんかじゃない。異種格闘技戦だ。
人が集まればルールが必要になる
現実でも、何かあるとすぐに「それはブラックだ!」と批判する風潮があるのを感じますが、こんなことでいいのかなと思う時があります。
ドラマの中で、ネットに「これはブラックだ!」と叩かれていましたが、必ずしも「語録」の全てがブラックな発想ではないと思います。例えば
自分に合う職場などない。自らが合わせろ。
というのは、これはそうだと思います。
理想的な職場に出会える人は少ないでしょう。人が集まればルールが必要になります。
いろいろな人が好き勝手に独自の判断で仕事をしたら、いろいろな問題が出てきます。考え方が違うアカの他人が1つの場所で働くのであれば、ある程度の制限が必要となります。組織に所属するということは、ルールに縛られるのは当然なのです。
こうしたルールの中でいかにして自分が折り合いをつけていくか、ということが大事なのではないかと思います。自分が合わせるのが嫌ならば、合う職場が見つかるまで転職し続けるか、起業して自分の理想とする会社を作るしかありません。
死ぬ気でやる者だけに未来がある!
これもそうだと思います。
傍から見たら天才と言われる人でも、人の見えない所で努力している人が多いです。
私を含め多くの人は凡人だと思います。我々凡人が仕事において普通にやったり手を抜いたりして成果を出すことができるのでしょうか?
誰もが楽して良い結果を出したいと思うのも無理はありませんが、自分の人生を良くしたいのであれば、このくらいの心構えで仕事に挑まなければならないのではないでしょうか。
経営者の思考と社員の思考で大きな距離
経営者と接していて感じるのは、経営者の思考と社員の思考で大きな距離があります。
それは仕方ないことだと思います。自分で独立して事業を起こすというのは、ある意味普通ではないのです。多くの人は会社を辞めて独立するということは、怖くてなかなかできません。
自分でやっていけるか不安になるからです。これは当たり前だと思います。
一方、独立する人は、独立するのが普通だと思っているのです。
今の会社では自分がやりたいことができない。
自分でやった方が上手くいく自信がある。
最初から●年で辞めて独立しようと思っていた。
このように考えている人が多いです。
経営者となると死に物狂いでやらなければならないわけで、それが普通の考えなのです。
これが当たり前なので社員にも「これくらいは当たり前だろ!」と言うのですが、温度差があるため拒否反応を招いてしまうわけです。
多くの経営者は口には出しませんが、ブラック・プレジデントの三田村社長のように思っている人が多いと思います。
経営者の言うことは、なかなか受け入れ難いかもしれません。
しかし、何でもかんでもブラックと批判するのではなく、「そういう心構えも必要なんだな」という見方も持って欲しいと思います。(野崎大輔)