仕事の成果を挙げるには、欠かせない「集中力」。だが、「あなたは集中力がありますか?」と問われると、いまひとつ、自信がない人もいるだろう。そんな人にも安心できる調査結果がある。なんと、「注意力散漫」が、仕事に役に立つというのだ。ネットでは、「励まされた」との声も多い。
「集中力に自信あり」は55.8%
モンデリーズ・ジャパン(本社・東京)が、全国に住む20~30代のオフィスワーカー男女312人(営業職以外)を対象にアンケートを実施したところ、全体の99.4%が、「社会人にとって集中力は必要」(「必要だと思う」+「やや必要だと思う」の合計)と答えた(2014年6月24日公表)。一方で、「あなたは仕事中、周囲に比べてどの程度集中力があると思いますか」との設問に対し、「集中力が高い方/やや高い方」と答えた人は、全体の55.8%だった。4割強のビジネスパーソンは、自分の集中力に、あまり自信がないようだ。昨今は、スマホやSNSが普及し、何かと気が散りやすいのも関係しているかもしれない。
一方で、仕事や勉強に、「集中できないのは、悪いことはでない」との見解もある。ニュースメディア「WIRED」の記事、「集中することが『絶対善』ではないし、注意力散漫は『絶対悪』ではない」(2010年10月18日配信)によると、ハーバード大学とトロント大学が2003年に行った研究で、「注意力散漫」が役に立つ場合があることが示唆されたという。
記事によれば、ハーバード大の学生たちを対象に行われた実験で、「きわめて創造的な業績」をあげた学生たちのグループは、注意力に欠かせないといわれる「潜在抑制機能」に「障害」がある割合が、顕著に高かったという。優秀な学生は、そうでない学生より「注意力散漫」、ともいえる。彼らは、集中力には欠けるものの、常に多くのことに注意を向けており、そこから新しい発想を生み出したのかもしれない。「集中力がない」のは、一概に悪いともいえないようだ。
「ボーっとしている方が、アイデアが生まれやすい」
「注意力散漫」は業績を上げるのに役立つ、との実験結果に、勇気づけられた人も多いようだ。ツイッターでは、「何か救われるな~」「希望が持てた」などのつぶやきが多く見られた。また、「ぼけっとして集中力がないときの方が、アイデアが生まれやすい経験はありますね」と、思考を集中させるより、むしろ「頭を柔らかくしておくこと」の重要性を指摘する人もいる。
「注意力散漫」は、ポジティブな捉え方をすれば、「何に対しても興味を持っている」とも、いえなくもない。が、記事では、「潜在抑制の機能の低さ(注意力散漫)が創造性の高さに結びつくのは、その人が、過剰な思考を分析してノイズの中の信号を常に探し求める意思をもっている場合に限られる」とあった。注意力散漫な人が、常に業績を上げられるかといえば、そうではなく、結局は、多くの情報から自分にとって必要なものだけを取り入れる「能力」が必要なのだろう。
記事を受けて、ツイッターでは、「自分や周りの思考や情報の中から、キラリと光るものを見つけられる人になりたい!」と、刺激を受けた人もいるようだ。それでも、やっぱり、「集中力が凄まじい人を見ると、羨ましく思う......」との声もあった。(KH)