新聞が「斜陽産業」と言われて久しい。若い世代を中心に新聞を取らない家庭が増え、年々発行部数は右肩下がり。2014年度の採用で朝日新聞社の面接には東大生が一人もいなかった、というJ-CASTニュースの記事(14年4月18日配信)も話題になった。
日本の新聞業界も苦境に立たされているが、米国ではより危機的な状況にあるらしい。新聞に携わる人も激減、人気職業ランキングでも「不人気」ぶりを示している。
200職種中199位という残念な結果に
ビジネス情報誌「エルネオス」14年10月号では、米国のメディア大手各社が次々と、将来の収益の見込みがない新聞部門を分社化して切り離している、という記事が掲載された。
その中に、新聞記者に関する興味深いデータがあった。米国の新聞業界の編集者数は13年末時点で3万6700人と、06年の5万5000人から大幅に減少している。
人員削減によるものという面もあるが、そもそもなり手が激減しているのだという。米就職情報専門サイトの調査によると、14年の人気職業ランキングでは「新聞記者」が200職種中199位。ワースト2という不名誉な結果になってしまったのだ。
就活生の間で人気上昇した新聞社も
米国のデータを「対岸の火事」として見ている余裕はない。日本新聞協会の「新聞・通信社従業員数と記者数の推移」によると、14年4月時点の記者数は回答社数92社で1万9208人。09年の2万1103人から、少しずつではあるが下降の一途を続けている。
中高生向けの仕事情報サイト「13歳のハローワーク公式サイト」が14年8月中に集計した「人気職業ランキングベスト100」には、「新聞記者」や「新聞業界」のしの字もみられない。編集者(6位)、テレビ業界で働く(19位)、出版業界で働く(66位)など、他のマスコミ仕事と差をつけられている。
一方、人気回復傾向を示すデータもある。就活・新卒採用の口コミサイト「みんなの就職活動日記」の「2015年度卒 新卒就職人気企業ランキング」には、朝日新聞社が57位(前年102位)、読売新聞社が76位(前年208位)と、両社とも前年から順位を大幅にアップさせているのだ。もっとも、彼らが「新聞記者」志望なのか、「給与が比較的高水準の会社」に入りたがっている「記者職以外」の志望者なのかは、分からない。
日本での新聞記者という仕事は今後、すっかり「オワコン」と化しつつある米国の新聞記者のようになってしまうのか、それとも踏みとどまれるのか。今、岐路に立たされている。(MM)