仕事の人間関係をややこしくするもののひとつに、「恋愛感情」があります。社内恋愛のカップルが周囲に与える「好奇心」や、微妙に突っ込んではいけない、あの感じ。さらに仕事上の相手を好きになってしまったり、口説かれたり、といった人間関係が、業務の邪魔をするケースは少なくありません。
恋愛感情がセクハラにつながることもあるでしょう。働く女子に聞くと、そんな恋愛感情やセクハラを、「結婚」によって回避できたという例もあるようです。
「あ、これは恋愛感情じゃないな」
「結婚したら、取引先の男性から口説かれなくなった」と喜ぶのは、IT企業で働くA子さん(29)。彼女いわく、「独身の時は、男性からセクハラっぽい飲みの誘いを受けても断りづらかった」そうです。
「セクハラっぽい飲みの誘い」とは何か。A子さんによれば、「自分に恋愛感情を抱いている(好みではない)男性を含め、少人数で飲みにいかなければならない飲み会」のこと。「それがセクハラか?」とも思いますが、忙しい合間を縫って、飲みに行くのが「自分に好意を抱いている男性」、しかも明らかにプライベートな関係を要求されている、ともなれば、おっくうになるのも分かります。実際、そこで深刻なセクハラに遇う可能性もゼロではありません。
そんな風に時々、仕事で関わる男性から「性的な目」で見られることに違和感を覚えていたA子さん。ですが、一昨年に結婚したところ、男性からの誘いがめっきり減ったというのです。
「『結婚してるの?』って聞かれて『はい』って言ったら、途端に相手の態度が変わる。人妻だと面倒くさいから、誘いづらいんじゃないかな。『あ、これは恋愛感情じゃないな』っていうのが分かる」とのこと。今は独身時代よりも、仕事で出会う異性との付き合いがラクになったそうです。
独身男女が2人で飲みに行っていると...
「既婚女性とは、『互いに恋愛感情が発生しない』という前提があるから気楽に付き合える」という男性もいます。A子さんと同じIT企業に勤める男性(31)いわく、「自分は独身だけど、結婚している女性の方が気軽に飲みに誘いやすいし、対等に話せる」とのこと。「独身女子を1対1の飲みに誘うと、『私のことを好きなんじゃないか』って誤解されて面倒なこともあるからね。既婚女性なら、互いに恋愛感情に発展する心配がないから気軽に誘える。何より、周りから怪しまれないのがラクだよね」。
確かに、社内の独身男女が2人で飲みに行っていると、周囲は「何かあるのかな?」と好奇の目で見てしまいます。が、「独身男性×既婚女性」という組み合わせなら、何となく「まぁ、仕事の話でしょう」と思える気がする。これが逆に「独身女性×既婚男性」だと、「もしかして不倫?」などと勘ぐってしまうこともありますが......。
往々にして、女性が既婚者の場合は、「私たち、恋愛関係ではありません」ということになるらしいのです。このことで、「仕事がやりやすくなった」という女性、また「既婚女性とは付き合いがラク」という男性も、けっこういるのでした。
男女関係なく、同じように仕事をこなすことが求められる昨今。面倒な恋愛関係やセクハラに巻き込まれないために、「既婚者である」ことが有利に働くケースもあるのでしょう。もちろん、「結婚して異性からの誘いが減ってしまった」と寂しがる男女もいないわけではありませんが、結婚によって、ある意味「自由に仕事ができる」のは、大きなメリットかもしれません。(北条かや)