40代の男性管理職クラスに、「親の介護」という事情が発生してきている
高度経済成長期には「ボーナス期のルール」にしたがい、「男性正社員による長時間労働」が成功体験の源であった。その良き思い出を捨てられない日本企業では、働く女性が子供を産む(とくに「2人目以降」)選択肢が考えられなかった。それはすなわち少子化であり、「未来の労働力を増やせなかった」ということになる。
また、その問題が目前にあったにも関わらず、「待機児童ゼロ化」に本気で取り組まなかったことで、産んだ女性が復帰できなくなり、「未来の労働力=子供」ばかりでなく、「現在の労働力=女性」さえも減らすことになってしまった。
ただ、これでもう日本経済が終わり...というわけではない。「もう、ボーナス期の手法では成長できなくなる」、ということである。経済成長のルールが変わり、これまで知っていたベストの手法が使えないので、オーナス期のルールに合わせた対策をおこなうことが必要だ。
昨今、ブラック企業にまつわる報道の増加を見ていると、「企業と労働者のパワーバランス」が変わりつつあると感じる。長時間労働や低賃金など、労働者にとってネガティブな状況を放置してしまうことは「どこでもやってること」から「リスク要因」となりはじめている。
たとえば、「長時間働けない...」という状況は、育児中の女性特有の事象ではない。
昨今では、バリバリ現役のフロントで成果を挙げている40代の男性管理職クラスに、「親の介護」という事情が発生してきている。彼らも同じく、「長時間働けない」事情を抱えた人々だ。
これまでのように、長時間労働、強引な転勤、本質的でない目的のために頻繁な出張などが会社への忠誠心をはかる材料であり、昇進条件なのであれば、もう今後だれもその仕事を担えなくなっていくだろう。
我々はこれからの日本を救うため、新しい働き方を実践して、ゲームチェンジャーになっていかねばならないのだ。(新田龍)<続く>
※「人口オーナス期に経済発展」についての議論は、株式会社ワーク・ライフバランス 小室淑恵氏によるプレゼンテーションを基にさせて頂いた。詳しくは、リンク先のこちらをご参照頂きたい。