「会社員以外の道」は海外にある
1980年からスタートした「ワーキングホリデー」制度も、女性の海外進出に拍車をかけました。オーストラリアなど、治安が良くて風光明媚な土地で、働きながら休暇を過ごす。あるスポーツメーカーに勤めていた知人女子いわく、「ワーホリは、とにかく勢い」だそうです。「将来、結婚したら海外なんて自由に行けなくなるじゃない?20代の今しかできないと思ったら、もう行くしかない!って」とのこと。最初はオーストラリア。帰ってきて、派遣社員として1年働き、今度はセブ島へ。ダイビングの免許も取ったそうです。「海外経験は今しかできない」と語る彼女にとって、結婚や、終身雇用制度の中で働き続けることは、「自由じゃなくなる」こと。
男性の中にも、「早期リタイアして、田舎で蕎麦打ちがしたい」などと言う人がいますが、それと似たようなもので、とにかく「会社員以外の道」を探っているのです。違うとすれば、海外を目指す女子たちは、定年後の「蕎麦打ち(=趣味)」を今、実行している点でしょうか。定年なんて待てない、というか、定年まで働くイメージができないのです。
バブル崩壊後は、男女ともに、「一生、ひとつの会社に貢献し続ける」という働き方が現実的ではなくなっています。とはいえ、まだまだ男性の方が、「休みなく働き続けなければ」という重圧を感じているもの。それに比べて、多くの女性は身軽なようです。晩婚化で、学校を卒業してから結婚するまでの期間が伸びたのも、若い女性を海外へ向かわせる理由のひとつでしょう。
語学留学に、海外インターンシップに、と励む彼女たちにも、「いつかは会社員に戻らないといけないし、結婚もしたい」という「タイムリミット意識」はあるようです。が、どこかで「自由じゃなくなるのが怖い」という思いもある。何が本当の自由か、なんて分かりませんが、会社や結婚という縛りから解き放たれた海外生活が「クセになる」のは確かなようです。私も会社員だったら、「思い切って海外留学だ!」となっていたかも......。(北条かや)