大学進学の究極の目的は「就職」だろうと思うが、卒業後の就職に全く興味を示さない学生も結構いたりする。「?」っと思って理由を聞いてみると、
「親がマンションをいくつか経営しているので、就職しなくて良いんです」
......それは御両親のもので、君のものじゃないだろうと言いたいのだが、学生の屈託のない笑顔を見ていると、指摘する気も失せてしまう。
最近多い「就職しても実家通いリケダン」
ちょっと前、大学生活を8年間満喫して(原則8年までは滞在できます。つまり、留年は最大4年まで)、やっと卒業できそうな学生がいたので、「彼は就職は大丈夫ですかね?あの、学修態度じゃあ......」と同僚の教授に話をふってみると、
「大丈夫ですよ、彼は。あの有名地元企業の社長の息子ですから。それに、弟は優秀らしいですよ」
なるほどな、名字が一緒だ。
社員のためにも、是非、弟に会社を譲って、自分は代表権の無い会長に就くなんて如何だろう......余計なお世話か。
さて、庶民の就活に話を戻そう。就活支援で学生に希望を聞いてみると、
「自宅から通える所が希望です。そうでないと駄目です」
「...でも、君の自宅から通いとなると、厳しいな。ところで、今はこっちでアパート暮らしだよね?」
「いえ。片道2時間半かかりますが通っています」
「えっ、下宿かアパートに住もうと思わなかったの?」
「全く思いませんでした」
「あっ、そう......じゃあ食事とか、洗濯とか、掃除とか...」
「すべて、母がやってくれます」
確かに通いの方が安くつく面もあるようだけど。就職しても「実家通いリケダン」、最近多いんだよねぇ~。「ママ」は喜んで食事とか、洗濯とか、掃除をしてくれるでしょうが、未来の奥様がそうとはかぎりませんし。一度ぐらいは一人暮らしして家事の大変さを経験しておいた方が良いと思うのですけど。
「なんとか就職」できたリケジョから初夏にメール
かと、思うと、
「どこでもいいですぅ~。海外でも全くも・ん・だ・い・ありませ~ん」
「えっ、御両親も同じ意見なの?」
「お父さんは、家に戻って来いって言ってるんですけど~。戻る気ないですし~」
まあ、昔は「娘は遠くに嫁に行って、息子は家を継ぐ」のが普通だった。今は娘はなかなか嫁に行かなくなったし、息子も大企業の社長ででもなければ家を継がなくなったが、結局、物理的な距離は変わっていないのかもしれない。
昔、「泣きの○○」なんて噂されているリケジョがいた。研究室ではいつもニコニコ、元気一杯なのだが、ほぼ毎日就職支援課に通って「就職活動がうまくいかない。20社も30社も訪問したが、どこも内定くれな~い」と泣いていたようである。私に泣いている事を知られたくないだろうからと、陰で就職支援課と相談しながら、なんとか彼女の就職を決めることができたときは「ホッ」としたなぁ~
就職後、しばらくした初夏にその彼女からメールが届いた。
「初めて上司から褒められて嬉しかった。やりがいを感じている」という主旨の事が綴られていた。上司はベテランの方なのだろう、彼女の性格をよ~く把握していらっしゃる。まあ、就職して「3か月」たって初めて褒められたのが気にはなるが......ひょっとして、「いわゆる3か月の壁」を越えさせるために褒めてみたとか?裏読みのしすぎかしらん。(プロフェッサーXYZ)