健康・行動管理は、社員の生活を預かる者の責務
すると社長は、
「君はバイクを良く知らんようだな。僕の乗っているバイクは大型だよ、安全性は非常に高い。万が一の危険の回避だって、小回りが利く分だけ乗用車よりも安全なぐらいだ」
と反論しました。
「バイクも乗用車も事故に巻き込まれる確率が同じだとすればバイクの方が、万が一事故に巻き込まれた場合には、死亡を含む致命傷を負うリスクが圧倒的に高いと思います。私は、社長職を不慮の出来事で辞さなくてはならないリスクの高い乗り物は避けるべき、と思います。どうしてもバイクに乗りたいのなら、社長職を辞されてからお願い致します」
私はキッパリとお話し、渋々ではありましたがご理解をいただきました。
極論をするなら経営者は自己のリスク管理の観点から、電車で行けるところは極力電車で行くなど、乗用車でも乗らないで済むならなるべく乗らない方がよい。事故発生時の死亡事故確率が高い高速走行は極力避ける。自身での運転はせず、乗車の場合も助手席乗車は避け運転席後ろに座る(タクシー乗車時も同じ)。プロを除く関係者以外の人の運転には同乗しない、なども心掛けとしてはあるに越したことがないと思うのです。
スポーツ、レジャーなどでも、リスク回避は意識すべきです。若い経営者などからは、バカンスで海外旅行の土産話を聞くことがよくありますが、「海外でジェットスキーに初挑戦して楽しかった」とか、「つり橋バンジーに挑戦し、すごい迫力だったとか」とか、「街中を牛が走り回る牛追い祭りに参加できて、最高だった」とか...。首をかしげたくなる話も多く耳にします。他にも、山登りやハングライダー、本格ラフティングなどの類は、あくまで個人的感覚ではありますが、経営者としてのあるべきリスクマネジメントの観点から申し上げれば、極力避けるべき行動であると思うのです。
そこまで神経質にならなくとも、と思われる向きもあるかもしれませんが、要するに経営者たるもの、一介のサラリーマンとは責任の重さが違うのだという自覚を持って行動して欲しいということなのです。極力リスクを回避するような健康管理、行動管理は、組織を運営し社員の生活を預かる者の責務であるとの認識をもって対処願いたいものです。(大関暁夫)