先日、JACリクルートメント COO 蒲原隆さんのお話を伺ったときに、非常に心に残る言葉がありました。
「何事も他責にせず、現有の状況の中で最善を尽くす」
ビジネスは完全な状況などありえない。ないものは自分で作らなくてはならない――
です。
これは、グローバルマネージャを目指す若手ビジネスパーソンに向けられた言葉であり、外資系、日系、海外でいろいろな方々と仕事をしてきた私としても、非常に納得がいく言葉でした。
大切なのは主体性
大切なのは主体性で、「人からやれと言われたことをやる」のか「自分で問題を解決する」のかの意識の違いが、後々大きな違いになるわけです。社員に対して「経営者意識を持て」というのと本質は同じです。
このような話に対して「社員は社長じゃないんだから、経営者意識なんて求めてもしょうがない」という意見もでてきます。これは、一面正しいです。人に言われたことだけをやるだけのスタッフは当然世界中にたくさんいます。その様な人たちは当然経営者意識なんて全く必要ありません。
ただ、問題は、「自分で問題を解決する」意識のない人は、永遠にスタッフレベルの仕事しか任されないことです。「役員になったら、経営者意識を持つ」といっているだけの人は、おそらく永遠に役員になることはありません。なぜなら、会社は「役員ができる人」を役員として抜擢するからです。平社員のうちから役員的な仕事ができると周囲に認められることによって上に上がることができるからです。
自分の置かれた環境でベストを尽くすしかない
そして、一生スタッフレベルでOK!という人にはもう一つ問題があります。それは、日本国内でスタッフレベルの仕事をしている人の給料はこれからかなりの高確率で下がっていくことです。途上国の労働者や機械ができる仕事はどんどん奪われて賃金が下がっていることは本連載でも何度も指摘しているとおりです。
さらに、高齢化により税金や社会保障の額も上がるので、生活レベルはどんどん下がっていきます。昨日と同じ仕事をしていたら貧しくなっていくのが21世紀の日本。さあ、どうしますか?という問題なわけです。
このような現実をみるにつけ「昨日と同じ事をしているだけで給料が上がっていく、高度成長期に生きている人たちはうらやましいなあ」と思うわけですが、とはいえ、20世紀の日本の中流家庭よりも2014年のカンボジアの中流家庭に生まれたかったかというと、教育レベルや医療レベルを考えると、日本に生まれてラッキーと思ってしまいます。
結局の所、自分の置かれた環境でベストを尽くすしかないわけで、元々高いところから始まる下りエスカレーターに乗っている我々は、このアドバイスの通り、全力疾走で登っていくのがいいんじゃないかと思うわけです。(森山たつを)