来年(2015年)に予定されている消費税の10%への引き上げを、予定通り実施するかどうかが議論されている。だが、よくよく聞いていると、実に奇妙な議論であることがわかる。重要な話なので簡単にまとめておこう。
請求書の送付時期を後ろにずらしたところで、「額」が減るわけではない
税金というのは政府から国民への請求書みたいなもので、請求書の送付時期をちょっぴり後ろにずらしたところで請求金額自体が減るわけではない。
だから、本来なら請求書の中身(=年々増加し続ける医療や年金等の社会保障給付)こそ議論すべきだと思うのだが、なぜだかその点についてきちんと議論している人を筆者はほとんど見たことがない。自民党も民主党も、選挙前には色々言っていたけれども、最近は社会保障のしの字も口にしていないようにみえる。
確認しておくと、現在20~64歳の現役世代2.4人で1人の高齢者を支えているが、2050年には1.2人で1人を支えねばならない時代が来ることは確定的となっている。つまり、国民負担はどう少なく見ても2倍になるわけで、現在、社会保険料と税金でお給料から3割ほど持っていかれているという人は、6割持っていかれる時代が、ほっておけば必ず来るということだ。
そういう状況下で、たった消費税2%分の請求書の送付時期なんて別にどうだっていいだろうと感じているのは筆者だけだろうか。