怨念を超え、「愛と怒り」のリクルート検証本 「出身」常見陽平氏が異例発表会でぶちまけたコト

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   評論家・人材コンサルタントの常見陽平氏が、新刊本「リクルートという幻想」(中公新書ラクレ)を上梓し、2014年9月3日に記者会見を開いた。著者の「盟友」との公開討論会もあり、新書発表会としては異例の会見となった。

   常見氏自身、かつてリクルートに勤務していた「元リク」のひとりだ。当時の内情を知るが、執筆にあたっては客観データに基づいて事実を丹念に洗ったという。巨大情報サービス企業・リクルートの「正体」に迫っている。

リクルート好きなの、嫌いなの、どっちなの?

新刊本を手に「ファイティングポーズ」の常見氏
新刊本を手に「ファイティングポーズ」の常見氏

   「元祖ベンチャー企業」として、日本人の働き方に影響を与えてきたリクルート。一方で1988年の「リクルート事件」は国内を揺るがす贈収賄事件となり、その後は一時1兆4000億円に上る巨額の有利子負債を抱えた。だが今では東京証券取引所への株式上場を控え、学生の就職先として高い人気を誇る。

   本書は、「人材輩出企業」で「トップ営業マン」を続々と生み出すといった「神話」に富むリクルートの真の姿をあぶりだそうと、2年をかけて常見氏が書きあげたものだ。「リクルートの『焦り』」「『モーレツ営業』の虚像と実像」「リクナビはなぜ批判されるのか?」――目次には厳しめのトーンが並ぶ。

「初めは、怒りと愛からスタートしました。ところが書いている途中、『この会社はかわいそう』という感情に変わったのです」

と執筆過程を振り返る常見氏。海外の強力なプレーヤーが登場してグローバル競争が加速するなか、ドメスティックな世界で成長してきたリクルートを見て、「攻めているより、むしろ巻き込まれているだけではないか」との印象を持ったという。

   会見には、「立会人」としてインターネットニュース編集者・中川淳一郎氏が同席し、常見氏との公開討論会となった。「盟友」である二人だけに、かなり砕けたトークだ。こんな掛け合いが見られた。

中川「リクルート好きなの、嫌いなの、どっちなの?(リクルートは)何のサービスやっているか分からないんだよね」
常見「確かに、CMで『すべての人生が、すばらしい』って言われても、すばらしいサービスがそこにあるのか分からない…。(消費者が)常時接点を持つサービスがあまりないんだよね。それからリクルートの関係者については、利益や理屈の徹底追求であまりにも合理的な感じが、時に反感を買うかなとも思う」
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