私は、無印良品のあのシンプルなデザインの雑貨が好きです。日本に住んでいた頃の家は、外から見えるところには無印良品、見えないところには100円ショップの雑貨が満載でした。
そして、昨年(2013年)、在住しているフィリピン・セブに無印良品ができたときは、小躍りし、フィリピン人がこういうものをたくさん使ってくれたらいいなあと考えていました。
「日本人はなんでこんなに黒とかグレーとかの色ばっかり身につけてるの?お葬式みたい」
が、世の中、そんなに簡単にはいかないようです。
フィリピン・セブの無印良品には、私が見る限りあまりお客さんが入っているようには見えません。あくまで、何度かのぞいてみた範囲の印象ですが、同じモールに入っている100円(こちらでは88ペソ=約200円)ショップ、ダイソーの方が賑わっているようです。
確かに、無印良品のフィリピンでの価格は日本のそれよりも高く、私でも躊躇してしまうことがしばしばです。しかし、宵越しの金は持たない、あるものは全部使う、でおなじみのフィリピン人は、多少値段が高くても欲しいものは買ってしまう傾向があります(実際、月給2万円くらいのフィリピン人も、普通にiPhoneを買っています)。
そこで、フィリピン人に「無印良品ってどうなの?」と聞くと、シンプルな答えが返ってきました。
「地味だね」
フィリピン人の身につけているものは、非常に派手です。街を歩いていても、パステルカラーのカラフルな洋服を着ている人がたくさん。バッグもピンクとか紫とかのものを持っている人が多いですし、iPhoneもカラフルな5cを好んで買ったり、キラキラのカバーをつけたりしています。
日本に来たフィリピン人の女性が「日本人はなんでこんなに黒とかグレーとかの色ばっかり身につけてるの?お葬式みたい」って言っていたように、好みが全く違うわけです。
失敗に対する耐性と、素早い方針転換のスキルを身につけて欲しい
ダイソーなどの100円ショップの品物は、プラスチックのカラフルなグッズが多いです。私からすると、うるさいのであまり家の中で視界に入って欲しくない色なので、棚の中などでしか使わないようにしています。
しかし、フィリピン人にとってみれば、カラフルなグッズは心がウキウキする楽しいもので、シックな「あれ」はまるでお葬式のようだと感じてしまう人もいるわけです。
外国でビジネスをやると、こういう真逆な価値感に遭遇することが多々あります。
私が取り組んでいるプノンペンのカレー屋、サムライカレーでも、心地よいスパイスの香りを「臭い」と言われるなど、苦労が絶えません。
現地の人が何を求めているかは、ある程度は調べることができますが、最終的には現地の人に実物を見せたり、食べてもらったりして反応をみるしかありません(しかも、その好みは日々変化します)。どんなにマーケティングして、リスク分析しても、最終的にはやってみなくてはわからない。だから、一番大切なのは、トライアンドエラー、特に失敗したときにいかに方針転換するかということなのです。
私は、カンボジアでカレー屋をやりながら、研修生の人たちと一緒にこのトライアンドエラーを繰り返していますが、やればやるほど失敗に耐性がついてきて、方針転換が早くなっていくのを感じます。
海外で働きたいと思っている人は、ぜひこの失敗に対する耐性と、素早い方針転換のスキルを身につけて欲しいなと思います。(森山たつを)