有川浩『空飛ぶ広報室』から学ぶ広報戦略

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「広報」における「守り」

――「自衛隊のいいところを売り込む『攻め』の部分を担当するのが広報班なら、報道班は危機管理的なマスコミ対応を担当する『守り』の部門。攻守が一体となって初めて広報室が機能するわけだけど、守備がしっかりしてないと攻めには打って出られないだろう?」――

   これは、緊急記者会見を想定したメディアトレーニングに初めて予算を使った時の鷺坂広報室長の言葉。相次ぐ企業不祥事を背景に、大手企業ではメディアトレーニングを実施しているところが多い。事実確認、対応策、原因究明、再発防止策の基本項目をはじめ、説明の仕方、スーツやネクタイの色、お辞儀の角度などを徹底的にチェックして万が一に備える。中小企業におけるメディアトレーニングは実施されていないに等しい状態だが、不祥事が発生すれば企業の存立をも危うくするだけに、コンプライアンス(法令順守)、内部統制システムとあわせて考えておきたいテーマだ。経営を構成する基盤は人、モノ、カネ、情報なのだから、情報戦略のかなめとなる広報セクションに対する認識を深め、一定のコストをかけるべきではないだろうか。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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