「先生、自分はT大に入学するためにここに来ました」「そう……うちはT大じゃないし、予備校でもないんだけど??」
しばらく前に在学していたリケダンとの会話である。私は最初、彼が何を言いたいか全く分からなかった。よーく話を聞いたところ、どうやら「T大の大学院に進学したい」とのことであった。
行動報告、小テストの点数、成績…すべて実家に電話
なるほどね、行動が正解かどうかはさて置いて、理解できなくもない。リケダン、リケジョの大学卒業後の進路、たとえば大学院の話などもそのうち紹介したいと思うが、一般に同じ大学でも「学部」に入学するよりも「大学院」に入学する方が入りやすかったりする。どうやら彼は「御両親の勧め」で少しでもT大に物理的に近付くべく、実家から遠く離れた東日本の大学に進学してきたようであった。
色々と話を聞いてみると、ほぼ毎日実家に電話して「本日の行動報告」を行っているようであった。ちょっとした「小テストや演習の点数」も全て報告して御両親より叱咤激励を受け、定期テストの成績が出た日になんて電話の双方で「一喜一憂」しているようであった。
「お母さんが『T大以外は意味がないから、とにかくT大の大学院に入れるように勉強しなさい』って言うんです」、「お父さんが『T大を出れば、将来はバラ色だから』って言うんです」、「先生、僕のこの成績でT大の大学院に合格できますか?お母さんが心配しているんです」……