世界中のセレブの人が氷水をかぶる「アイス・バケツ・チャレンジ」が流行っていますが、私が住むフィリピンの人たちは、一般人であってもセレブであっても日常的に冷たいシャワーを浴びています。
以前は、ホットシャワーを買うお金がないから水シャワーを浴びているのかと思っていたのですが、ホットシャワーの機械はそれほど高くないし、金持ちの人も普通に水シャワーなので、別に理由があるようです。
「身体がひやっとして気持ちいいでしょ」
と、いうわけで、セレブのフィリピン人に聞いてみたところ
「水シャワーの方が、身体がひやっとして気持ちいいでしょ」とのこと。
年中暑いフィリピンでは、ひやっとすることが快感なわけです。
「なんで、日本人は、暑いのにわざわざ熱いお湯を浴びるの?」
これは、東南アジアのエアコンが冷蔵庫のように強烈なのと一緒のようです。我々にとっては我慢大会であるあの設定温度は、彼らにとってみると「ひやっとしていて、気持ちいい」なのです。逆に、日本人が42度のお湯につかっているところは、彼らにしてみたら我慢大会なのでしょう。
実際、私が住んでいるフィリピン・セブのホテルのプールは、屋内にもかかわらず水がすごく冷たいです。
この辺の案配は、どれがいいとか悪いとかではなく、「そういうもの」なのです。
ただ、普通に知り合いが水シャワーを浴びるときには「ああ、そうか」で完了なのですが、自分がビジネスをやるようになってくると話は変わります。例えば、自分がスパを経営する時には、お風呂は温かくするのか、冷たくするのかを、客層によって変えなくてはならないのです。自分がよいと思うことと、お客さんがよいと思うことの乖離、これが日本国内でやるよりも大きくなることです。だから、現地のお客さん候補の人に話を聞き、実際に使ってもらい、率直な(これが難しい!)感想を聞くことが大切です。
アップデートを敏感に察知して、自社のサービスに取り入れる
さらに難しいことに、習慣は、時の流れに応じて変化していくので、そのアップデートを敏感に察知して、自社のサービスに取り入れなくてはならない。こういうコミュニケーション力と企画力があると、海外で重宝される貴重な人材になれます。
ちなみに、最近は「やっぱ、温かいお湯サイコー」という東南アジアの人も増えており、電気屋のホットシャワーコーナーもじわじわ売り場面積を増やしてきているので、アーリーアダプタ向けの、海外銭湯なんかも流行るかもしれませんね。プノンペンには何件もありますし。(森山たつを)