日本の会社員「生産性が低い」ワケ 「自分にしかできない仕事」という思い込みも一因?

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   毎日残業しても、仕事が終わらないどころか溜まっていくばかり、と嘆くサラリーマンは多い。日本人の正社員(一般労働者)の労働時間は、2012年度で2016時間。長期的にみても2000 時間前後で変化がなく、ここ3年間はむしろ、じりじりと増加している(日本生産性本部「日本の生産性の動向」2013より)。

   こんなに働いているのに、欧米諸国と比べて「日本人の生産性は低い」と言われれば、ガックリ来てしまう。一体、なぜだろうか?

日本人の「生産性」は先進7か国で「最低」

   日本生産性本部によれば、日本人の1人あたり労働生産性は、経済協力開発機構(OECD)加盟国34か国中、21位。ここ20年以上、先進7か国では最低レベルの状況が続いている。日本人の生産性が、2位のアメリカの3分の2に過ぎないと聞くと、「なぜ?」と感じる人も多いだろう。いくら業務の効率化が進んでも、なかなか「ダラダラ仕事」から抜け出せていないということか。

   よく、日本の会社組織は「ジョブ型」ではなく「メンバーシップ型」だと言われる。「メンバーシップ型」の場合、「ジョブ型」のように専門分野や勤務地が限定されておらず、様々な職種や転勤を経験してキャリアを積み上げていく。異動も昇進も、会社(上司)の裁量ひとつで決まる部分が大きい。とすれば、会社への忠誠心を「労働時間の長さ」や「仕事の量」でアピールしようとする社員が増えるのも不思議ではない。1人1人が長時間、沢山の仕事をこなして評価される文化が、まだ根強く残っているのだ。

   1980年代の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代までは、それでも良かった。しかし、バブル崩壊と平成不況を経て、多くの企業は「メンバーシップ型」の社員を育てる余裕をなくしている。

仕事をひとりで抱え込んでしまう

   社員が減らされた職場では、後輩をじっくり育てる余裕がない。教える時間がないから、多くの先輩たちは「自分でやった方が早い」となってしまい、若手のスキルは伸び悩む。「スキルがない若手には任せられない」と、中堅層はさらに仕事を抱え込み、学びのチャンスがない若手は、効率的な仕事の方法が分からず、結局みんなでダラダラ残業。そんな悪循環が、職場の「生産性」を落としている可能性もある。

   このように、一部の社員が仕事を抱え込むことのリスクを指摘する人もいる。「脱社畜ブログ」を運営する日野瑛太郎氏のコラム、「『自分でやったほうが早い』でチームは滅ぶ」(2014年8月12日配信)によると、仕事は積極的に他人に任せた方が、チームのためになるという。他人に初めての仕事を委ねるのは、時間もかかるし、面倒だ。それでもチーム内に「自分と同じ仕事ができる人」を増やすことは、長期的にみれば全体の経験値を上げることにつながる。さらに、「自分でやった方が」と仕事を抱え込んでいては、「今後も同じような仕事を全部自分でやらなければならない」リスクも背負うことになる。

   考えてみれば本来、「その人にしかできない仕事」というのは、そこまで多くないはずだ。それを「自分がいないとダメだから」と思い込むのは、強すぎる責任感か、もしくは単に教えるのが面倒、というネガティブな理由からかもしれない。効率的な「仕事のシェア」が、職場の生産性向上につながる可能性は大きい。(KH)

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