「成長フェチ」は会社にいらない 「彼らのせいで何人が犠牲になったことか…」

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価値観重視のバリュー経営・人事に舵を切り返す企業も多い

   先日、メーカーの人事の方とお話した時も、似たような話が出た。

「最近ウチは、TOEIC900点とか、前職の経歴がやたらと綺麗だとか、そうしたキャリア重視採用は辞めました」

   では、何を重視するかというと、個々人が持つ「価値観」だと言う。

   「わが社では今ダイバーシティーを推進しているのですが、多様性を受け入れる器はあるかとか、子育て中で時短勤務の社員でも進んで助けようとするかとか、そういった性格や価値観を、じっくり見るようにしている」そうだ。

「昔はデキる奴なら多少性格が悪くても採っていました(笑)。でもね、結論から言うと、必ずその方式は失敗するの。そういう人は、達成するためなら多少の無茶や荒業を使うし、周囲とうまく協業できない。社員とは会社の顔だから、そういうエゴイストが全面に出てくると、会社の信用も落ちるしね」

   このように、10年前は「実力主義」を掲げていた会社も、価値観重視のバリュー経営、バリュー人事に舵を切り返す企業も多い。

   「成長したい、成長したい」が口癖で、年中、自己啓発書が手放せず、セミナーや交流会通いを仕事以上に優先するような人は、それこそ「飛べないスーパーマン」になっていないか、再考してみるべきではないか。

   時代は、確実にポテンシャル重視、価値観重視、人柄重視の方向に傾斜している。


   最後に、筆者から一つご報告させて頂きたい。

   本連載は、筆者の都合により、ここでひとまず休載させて頂くことになりました。筆者はここ10年、自分の会社を経営しながらライター業を続けてきたが、10年ぶりに新たな別の挑戦に挑むつもりだ。

   そんなご報告がまた出来たら嬉しい限りです。

   最後までお読みいただき、ありがとうございました。(佐藤留美)

佐藤 留美(さとう・るみ)
ライター。企画編集事務所「ブックシェルフ」(2005年設立)代表。1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、現職。著書に、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)、『なぜ、勉強しても出世できないのか?』(ソフトバンク新書)、『結婚難民』(小学館101新書)などがある。
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