「成長フェチ」は会社にいらない 「彼らのせいで何人が犠牲になったことか…」

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   先日筆者はある有名コンサルティング会社の幹部と、最近花盛りの中途採用市場について話す機会があった。

「最近、コンサル業界も仕事が増えて、どこもかしこも人手不足だそうですね」

   すると彼は、「M&AやMBOファンドも復活してきたし、マイナンバー制の導入なんて大トピックもあるから、猫の手も借りたいほど」なんて言う。

   だが、実際は「猫の手」なんかに用はない。

「社員の『学び舎』ではないですからね」

「成長」を目指すぜ!
「成長」を目指すぜ!

   「しっくりこない人間を雇っても、チームの和を乱す、クライアントに受けが悪くて突き返されるなんて事態が続いて、誰もプロジェクトにアサインしなくなるから、厳選採用するしかない。だから、慢性人手不足」だと言う。

   では、どんな人間を真っ先に落とすのか? と聞くと、彼はこう即答した。

「成長フェチですね。面接で『御社と共に自分も成長していきたい』とかいう人は即落ちです」

   落とした人間の中には、最高学府を出て、留学経験もあり、名だたる名門企業の人間もゾロゾロいるらしい。

「『御社もこんなサービスを展開したらどうか』などと鋭い指摘をして、パワポで作った30ン枚の資料をプレゼンしてくれた人もいました。でも、その彼、最後に余計なことを言ってね。『このプランで、御社も私も共に成長していきたい』とかさ」

   それを聞いた彼は、「うーん」と唸ってしまったそうだ。

   なぜ、そこまで「成長フェチ」タイプは嫌われるのか?

「結局、組織への貢献を最優先にしてくれないからですよ。会社って、利益の最大化に向けて社員一丸となって頑張るところで、社員の『学び舎』ではないですからね」

   この彼によると、自己成長が最優先のタイプは「繁忙期にさえ自分優先。長い休暇を取る、交流会イベントを優先する。社会人大学院に通うなんてへっちゃら」なんだとか。

「彼ら彼女らの自己研さんのせいで、一体何人が犠牲になっていることか。しかも、その勉強が実際仕事の役に立っていればいいけれど、そういう人に限ってなぜか勉強を仕事に生かすことができないんですよね」
佐藤 留美(さとう・るみ)
ライター。企画編集事務所「ブックシェルフ」(2005年設立)代表。1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、現職。著書に、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)、『なぜ、勉強しても出世できないのか?』(ソフトバンク新書)、『結婚難民』(小学館101新書)などがある。
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