高度成長期の「モーレツ社員」から、平成になって問題化した「過労死」まで、とにかく「日本人は働き過ぎ」とのイメージが強い。労働時間の長さはもちろんのこと、法律で定められた休暇があっても「休まない、休めない」人が多いのだ。そんな日本人が「仕事に熱心」かといえば、一概にそうとも言い切れない。メリハリがない働き方のせいか、仕事への満足度が諸外国に比べて低い、との調査結果もある。こうした現状を、「長期休暇(サバティカル)」の導入で打破しようとの動きも出てきた。
世界で一番休まない日本人?
厚生労働省の「就労条件総合調査」(2013年)によれば、日本の会社員の「有給休暇の取得率」は47.1%。1人あたり 18.3 日の有給休暇があるにも関わらず、平均 8.6日しか使われていない。
日本人が「休まない」のは、諸外国と比べても明らかだ。オンライン旅行予約サイト、エクスペディアが実施したインターネット調査によれば、日本人の有休消化率は6年連続世界ワースト1位(2013年12月4日公表、調査対象は世界24か国、18歳以上の有職者男女8219人)。仕事をもつ日本人のうち、17%は有休消化日数が「ゼロ」で、こちらも世界1位だ。
休むべきときにはしっかり休まないと、仕事への満足度は低くなる。有休消化率が世界ワースト1位、2位の日本と韓国では、仕事への満足度もそれぞれワースト1位、2位。メリハリのない働き方が、仕事へのやる気を削いでいるのかもしれない。
こうした現状に、警鐘を鳴らす人もいる。日本経済新聞で配信されたコラム「企業人よ、長期休暇『サバティカル』で力を覚醒せよ」(2014年8月8日付)では、インテカー社長の斉藤ウィリアム浩幸氏が、欧米の「サバティカル休暇」を紹介。欧米では、長期勤務者に対し、1か月~1年の長期休暇を付与する企業が増えているという。1年もあれば、海外留学やボランティア、趣味に打ち込むなど、選択肢が広がる。会社勤めとは全く違う経験を積むことで、内面的な成長も期待できる。