無駄な習慣や非効率なことが好きなひとが、まだまだ大量に存在する
そういうと、そんなのムリという声が聞こえそうだ。
もう1つは、逆説的だがもっと非効率を極めるということだ。ウェブで仕事をうけるアジアのフリーランサーたちはあまりややこしいコミュニケーションはしたがらない。ワケのわからない依頼にたいして雑談につきあって、あーでもないこーでもないというようなことはしてくれない。明確な依頼に対して十分な品質のものを提供するだけで、効率性を重視している。
一方で、日本の中には、もっと不明確で、曖昧で、非効率な依頼がある。
合理的で効率性を求めるクライアントは、海外に発注する流れは止まらないだろうが、そうではないクライアントもいる。理由もなく海外嫌いで、英語はできず、非論理的で、決まったこともすぐひっくり返すやっかいぶりで、なにかにつけて呼びつけるようなクライアントだ。恐ろしいほどに非効率なクライアントだが、彼らは論理的でなく効率も重視しないので、最後まで日本人に、日本人価格で発注してくれる可能性がある。
これらのクライアントを相手にするしかない。
つまり、「価格」でも「品質」でも勝てないので、それ以外の本質的でないところで勝負するということだ。
幸いにして日本には、まだまだ無駄な習慣や、非効率なことが好きなひとが大量に存在する。彼らがすぐに消えてなくなるわけではない。そういう人に、徹底的に非効率なやりかたでベッタリと寄り添うことが、生き残りの鍵だろう。最後は、誰もやりたがらない仕事だけが残る。(大石哲之)