日本のフリーランサーに「非効率を極める」のススメ

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無駄な習慣や非効率なことが好きなひとが、まだまだ大量に存在する

   そういうと、そんなのムリという声が聞こえそうだ。

   もう1つは、逆説的だがもっと非効率を極めるということだ。ウェブで仕事をうけるアジアのフリーランサーたちはあまりややこしいコミュニケーションはしたがらない。ワケのわからない依頼にたいして雑談につきあって、あーでもないこーでもないというようなことはしてくれない。明確な依頼に対して十分な品質のものを提供するだけで、効率性を重視している。

   一方で、日本の中には、もっと不明確で、曖昧で、非効率な依頼がある。

   合理的で効率性を求めるクライアントは、海外に発注する流れは止まらないだろうが、そうではないクライアントもいる。理由もなく海外嫌いで、英語はできず、非論理的で、決まったこともすぐひっくり返すやっかいぶりで、なにかにつけて呼びつけるようなクライアントだ。恐ろしいほどに非効率なクライアントだが、彼らは論理的でなく効率も重視しないので、最後まで日本人に、日本人価格で発注してくれる可能性がある。

   これらのクライアントを相手にするしかない。

   つまり、「価格」でも「品質」でも勝てないので、それ以外の本質的でないところで勝負するということだ。

   幸いにして日本には、まだまだ無駄な習慣や、非効率なことが好きなひとが大量に存在する。彼らがすぐに消えてなくなるわけではない。そういう人に、徹底的に非効率なやりかたでベッタリと寄り添うことが、生き残りの鍵だろう。最後は、誰もやりたがらない仕事だけが残る。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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