お盆休みが終わり、子どもたちは新学期に向けて夏休みの宿題のラストスパート。そんな姿を横目に見ながら、仕事を抱えるお父さん、お母さんたちはこんな思いが押し寄せていないだろうか。「自分も勉強しなきゃ……英語」。
グローバル人材の登用、英語の社内公用語化とビジネスパーソンにとって英語が「必須ツール」になりつつある今日、気持ちも新たに英語に再チャレンジするのは今だ。
「間違えてバカにされたくない」プライドが問題
「今年は英語をマスターする」と新年の誓いを立てたはずだった。4月の新年度スタートに合わせて、テレビやラジオの英語講座のテキストを買いそろえた。それなのに、結局長続きせずギブアップ――。そんな人たちのために、夏休み明けの今が「今年最後のチャンス」とばかりに、「週刊ダイヤモンド」と「AERA」が同じタイミングで英語特集をぶつけてきた。
「AERA」2014年8月25日号は、「英語は気持ちが9割」と題して「英語で話せるようになるには」に焦点を当てた。国際機関や世界を舞台に活躍する著名人らのインタビューでは、ゼロからのスタートだった英語をどのように克服したか、体験談とともに成功のポイントが書かれている。ほかにも、文法ルールなどお構いなしでなまりも強烈な「アジア英語」に、ビジネス上どう付き合っていくか、という話題も興味深い。
TOEICの点数が高くてもコミュニケーションできないとしばしば耳にする。その理由と解決法として、記事中ではレーザー機器専門商社社長の近藤宣之氏が社員向けに開催する英語レッスンを取り上げた。近藤氏はこう語っている。
「完璧にしゃべろうとか、間違えてバカにされたくないといったプライドが、コミュニケーションを妨げている」
レッスンではとにかく英語をしゃべり、自信をつけるのだという。他人の目を気にしない度胸と、間違うのが当たり前との開き直り、流暢でなくても相手に正しく伝えるという目的意識が大切というわけだ。
TOEICで700~800点と比較的高い点数を取りながら、会話レベルが低いという事実は、「週刊ダイヤモンド」2014年8月23日号でも指摘された。同誌が提唱したのは、「ネイティブ並み」を目指すのではなく、「グロービッシュ」という簡易ビジネス英語の活用だ。いったいどんなものなのか。
非ネイティブ相手に誤解生じない平易な英語で
グロービッシュとは「グローバル」と「イングリッシュ」を組み合わせた語で、使用頻度の高い英単語1500語のみを使って、簡単な構文、短い文書に区切り分かりやすく伝えるものだと、週刊ダイヤモンドの記事では説明されている。1500語のうち半数近くの700語は、中学レベルの基礎的な単語だ。
英語を使うのは、何も米国人や英国人のようなネイティブと会話する場面に限られるわけではない。むしろアジアを中心に非ネイティブ相手という場合が多いかもしれず、こうした人々は独自の言い回しや強いアクセントがある。だからこそ、お互いに分かりやすい表現にして、誤解が生じないように配慮するためにグロービッシュが有効というわけだ。
英語学習を始めても途中で挫折するケースは少なくない。情報サイト「オールアバウト」2013年11月6日付の記事では、目的がはっきりしていない、設定している目的や目標が自分にあっていない、の2点を挙げた。確かに、必要に迫られないと重い腰を上げるのが億劫なもの。逆に「仕事上英語を話さざるを得なくなった」「海外出張で英語プレゼンを命じられた」など明確な理由があれば、動機づけとして十分だ。設定目標については、基礎的な語い力や文法力が不足したまま高度な教材に取り組んでも上達につながらないという。
急にCNNを英語だけで聞こうとしたり、英字紙を読みこなそうとしたりしても難しい。むしろ、「英語はネイティブ並みのボキャブラリーをもって正しく話さなければ」という幻想とオサラバし、むしろグロービッシュこそ世界で活躍するために求められていると分かることが大切だ。あとは場数を踏む機会を意識的に増やしていけば、会話力はついていくだろう。
英語コンプレックス解消に向け、「時は来た、それだけだ」。