経営幹部が真っ先に心がけなければならない課題
伊坂幸太郎の小説『ガソリン生活』(朝日新聞出版刊)にこんなフレーズが出てくる。「人間には、認められたい、役立ちたい、褒められたい、という三大欲求があるらしい。(中略)どんな単純作業でもいいから仕事を与えればいいんだろ、という発想は間違いなんだ。それでは人間は幸せにならない。精神は沈んだままだ」―。
不祥事の多くは、この三大欲求が満たされず、「認められない、役立てない、褒められない」状況に陥った人が、ついつい手を出してしまうのではないか。あるいは、満たされない思いがあるから、行わなければならないチェックがおろそかになる。そう考えると、従業員の心の健康がリスクマネジメントの裏に潜む大問題であり、経営幹部が真っ先に心がけなければならない課題といえる。(管野吉信)