ゲームの世界でレベルアップするのは楽しい。もし、この「経歴」が実務に有利になるとしたら……?アメリカでは実際、そんなケースがある。CNN.co.jpの記事「履歴書に書くべきこと『私はレベル70のパラディン』」(2014年8月4日配信)によると、セキュリティーソフトウエア大手シマンテックの最高執行責任者(COO)、スティーブン・ジレット氏は、「ゲームでの経歴」を前向きに評価された結果、今のポジションを得たという。
日本でもゲームの「腕」が企業に評価される日が来るのだろうか。
ゲームは「バーチャル空間で指導力を鍛える場」
記事によると、スティーブン・ジレット氏は、米コーヒーチェーン大手スターバックスや米IT関連情報サイトCNETなどを経て現職。これらの華々しい経歴と並び、彼の履歴書には、世界的に人気のオンラインゲームにおける「経歴」が書かれている。いわく、「私はレベル70のパラディン」。人気ゲーム「ワールド・オブ・ウォークラフトに登場するキャラクターだ。
ジレット氏は、このゲームが単なるロールプレイングではなく、「バーチャル空間で指導力を鍛える場でもある」と考えているという。ゲームで鍛えた能力を、実務でも活かせるというのだ。実際、ジレット氏はスターバックス時代、ゲームの方法論で顧客をつなぎ止め、売上高をプラスに転じさせた。
このニュースが日本に配信されると、ツイッターやフェイスブックでたちまち拡散。多くの感想がつぶやかれた。「海外ではこういうエキサイティングな奴がいいかもしれんな」「日本では門前払いくらいそうな履歴書だけど、海外では評価されることもあるんですね」など、アメリカの自由な風土に言及する意見も目立つ。
「ゲームでの経歴だけではない」と冷静なツッコミも
ジレット氏の例を見て、「自分もそんなことができたらなぁ」と感じた人もいるようだ。「まじかよ、今度履歴書に『累積4000のインフラブラックです』って書くわ」「『おいらは司令部Lv103の中将(提督)』と書けばいいんですね、わかります!」など、彼の経歴をうらやむ声も多い。冗談半分で、「そのうちネトゲやってたら企業から引き抜きにくるなんてこともあるかもなw」とツイートする人もいた。
もちろん、ジレット氏が今の地位を得たのは、ゲームの経歴「だけ」が素晴らしかったからではないだろう。「たまたま多弁で有能な人物がネトゲにはまっていただけ。ネトゲ廃人がCEOになった訳じゃないw」という、冷静にツッコむ人もいる。
ゲームの考え方を現場に応用するという能力も含め、結局は「他に売りが山ほどある方だから書けるネタなんですねぇ」というツイートもある。
ちなみに、シマンテック社のウェブサイトで「経営陣」の欄を見ると、人の良さそうな笑みを浮かべたジレット氏が載っている。当然かもしれないが、経歴に「レベル70のパラディン」「ゲーム」の文字はなかった。(KH)